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2017 年度 実施状況報告書

日本近現代文学におけるフィクションの機能に関する総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02473
研究機関同志社女子大学

研究代表者

高橋 幸平  同志社女子大学, 表象文化学部, 准教授 (40581567)

研究分担者 日高 佳紀  奈良教育大学, 教育学部, 教授 (00335465)
大浦 康介  京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (60185197)
久保 昭博  関西学院大学, 文学部, 教授 (60432324)
河田 学  京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00569923)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードフィクション論 / 近・現代文学
研究実績の概要

2017年度は以下の各項目の通り研究を進め、その進捗を隔月の研究会(偶数月、計6回開催)で報告した。1.西洋のフィクション論の整理・把握 フィクション論の基本文献として、ケンダル・L・ウォルトン『フィクションとは何か』を取り上げ、特に言語による表象体における「プロンプト」「準恐怖」などの諸概念について検討した。また未訳であった、Schaeffer,Jean-Marie. 1999. Pourquoi la fiction? を取り上げ、その内容と、ジョン・R・サール『表現と意味』などとの連続性・差異について整理した。フィクションの中でも物語の性質を持った表象は、「言語による心的行為のシミュレーション」「発語内的行為のシミュレーション」「物語的同一性の交替」の複合体であるという理解をもとに、日本近代文学の再カテゴリー化について検討する視座を得た。さらに、国内の重要文献として、西村清和『フィクションの美学』を取り上げ、虚構世界の存在論的身分に関する過去の議論を整理しつつ、ウォルトン・サール・シェフェールの各フィクション論的立場を相対的に位置づけ把握した。2.日本近現代文学のフィクション論的分析 1.での理論的な考察を経て、田山花袋・谷崎潤一郎・夢野久作・森敦について、各作家の作品や評論らをフィクション論的な視点から分析し再記述した。3.研究成果の海外での発表・意見交流 8月にチュラーロンコーン大学(タイ)に赴き、文学部東洋言語学科日本語講座の教員と研究ミーティングを行った。タイにおける日本文学・日本文化の受容の実態、また関心のあり方についてディスカッションを実施し、加えて翻訳とリアリティーの問題や重訳の問題など、フィクションの成立条件に関する言語レベルの問題点について議論した。また打ち合わせの結果、2018年度の8月25日にシンポジウムを開催することを決定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、1.西洋のフィクション論の整理、2.日本近現代における文学作品とそれをめぐる現象のフィクション論的分析、3.新たなフィクション論的枠組みの構想、4.研究成果の海外での発表・意見交流、を計画していた。このうち、1.2.については計画通り進んでおり、3.については明確な報告には至っていないが、各研究者により報告会でディスカッションにより、その基盤が形成されつつある。4.については予算にあわせて海外への出張回数・人員を合理化した。

今後の研究の推進方策

1.西洋のフィクション論の整理については、これまでと同様に基本文献の理論的主張を成立しつつ、それらのカテゴリー化・系統化などを行い整理する。2.日本近現代における文学作品とそれをめぐる現象のフィクション論的分析については、対象を他の作家の作品や評論に拡大する。そのプロセスで3.新たなフィクション論的枠組みの構想に取り組む。4.研究成果の海外での発表・意見交流については、2018年度8月にバンコクでの国際シンポジウムに参加し、パネル発表を行う。

次年度使用額が生じた理由

2017年度、チュラーロンコーン大学での研究ミーティングへの参加人数を合理化した。次年度使用額は2018年度に予定されるタイへのシンポジウムへの参加に使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 新興芸術とプロレタリア文学 : 赤木健介の理論2017

    • 著者名/発表者名
      高橋幸平
    • 雑誌名

      国語国文

      巻: 86(6) ページ: 628-639

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ポスト・トゥルースあるいは現代フィクションの条件2017

    • 著者名/発表者名
      久保昭博
    • 雑誌名

      早稲田文学

      巻: 初夏号 ページ: 62-67

  • [学会発表] 谷崎潤一郎「異端者の悲しみ」のレトリック2017

    • 著者名/発表者名
      日高佳紀
    • 学会等名
      日本近代文学会例会
  • [学会発表] Le retour au classicisme est-il un paradoxe de la modernite' ?2017

    • 著者名/発表者名
      久保昭博
    • 学会等名
      名古屋大学人類文化遺産テクスト学研究センター主催シンポジウム「前衛芸術と古典主義─1880年-1945年」
  • [図書] 大浦康介編『日本の文学理論 : アンソロジー』2017

    • 著者名/発表者名
      大浦康介(編著)
    • 総ページ数
      466
    • 出版者
      水声社
    • ISBN
      9784801002401

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公開日: 2018-12-17  

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