研究課題
基盤研究(C)
「実録」とはいわゆる「近世実録」あるいは「実録体小説」と称される作品群である。そのなかでも忠臣蔵(赤穂義士伝)の初期実録について、従来最大の所収書(『赤穂義人纂書』に漏れた重要書を見つけ出すために、諸本を調査して資料を比較し、忠臣蔵像の原形を探ることを目標に、作品を選び出し、これを決定して、その諸本を比較研究して、良好な校訂本文を作成する。その上でそれら本文の解題的基礎研究を進め、校訂本文とともに公刊して、専門家や社会に還元して、忠臣蔵初期実録像を明らかにした。
日本近世文学
忠臣蔵初期実録については、これまでは明治期の『赤穂義人纂書』によっていたのであったが、本研究によりそれらを見直し、更に2作品を重要作と認定し、それに『介石記』を加え、綿密な諸本研究を施し、これらを比較研究をして良質な校訂本文を決定し、これに解題的基礎研究を進め、あわせて公刊して、斯界や社会に還元したことは、学術的意味や社会的意義が大きいものと認定される。これによって、忠臣蔵像の創出・形成の解明が確実に進歩したのである。