本年度(2023年度)は研究活動の総括として、上司小剣の著作目録の最終確認作業を行った。 これまでの調査研究においても、既存の目録に採録されていない上司小剣の小説や評論、エッセイなどを多数発見しているが、本年度は調査の範囲を広げたことで、上司小剣が筆名で発表した新聞コラム、雑誌や新聞に掲載された時評や論説、雑誌が特集したアンケートへの回答や座談会の記事などを新たに収集することができた。 上司小剣が読売新聞社時代に用いていた筆名は「子介」や「風満楼」が知られているが、上司小剣は「三色」という筆名でも文章を発表している。しかし「三色」という筆名で発表された文章は既存の目録には採録されていなかったため、「三色」の筆名の文章を『読売新聞』から拾い出した。さらに『中外商業新聞』『東京日日新聞』などを調べ、初出が未詳であった上司小剣の時評や論説の掲載状況を確認した。また『食通』『食道楽』『料理の友』といった食の雑誌、『大法輪』『知と行』などの仏教雑誌、『日本農業新聞』などの業界紙、白十字社発行の『療養知識』や大阪青果株式会社発行の『果物の栞』(非売品)など、文芸誌や総合誌以外も可能なかぎり渉猟した。 2023年10月には上司小剣の縁者の方と面談し、上司小剣関係の資料についてご教示いただいた。 研究を開始した時点で把握していた上司小剣の著作は2500点ほどであったが、著書から新聞コラムやアンケートの回答までを網羅した約4000点の目録化が完了した。
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