研究課題/領域番号 |
17K02489
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
岩田 美喜 立教大学, 文学部, 教授 (50361051)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イギリス・アイルランド演劇 / 家族表象 / ジェンダー論 |
研究実績の概要 |
本研究は、18世紀後半から現代に至るイギリスおよびアイルランドの演劇に登場する家族(特に兄弟姉妹)の姿を考察することで、演劇が描出する家族表象が、各々の時代の問題意識を反映させながら柔軟に変化してきた、そのダイナミズムを明らかにせんとするものである。個人研究としては広範な時代にわたる研究であること、また演劇研究であることから、研究の遂行には、日本では入手しにくい文献や映像資料にあたる必要がある。 そのため、課題の2年目に当たる2018年度も2017年度に引き続き、英国(ロンドン)に渡航して、英国図書館、ヴィクトリア&アルバート美術館のシアター・アンド・パフォーマンス・アーカイヴ、シェイクスピアズ・グローブ・アーカイヴにて資料収集および調査を行った。これらの調査の成果は、2019年度のシェイクスピア学会シンポジアム(2019年10月開催予定)および論文のかたちで発表される予定である。 そのほか、2018年度中には、2017年度の調査で得られた知見をふまえ、演劇における家族表象の淵源を17世紀にまで遡った口頭発表を1本、英語論文による発表を1本行った。前者はジョン・フォードによる『あわれ彼女は娼婦』(1633出版)を取り上げ、男女の双子の近親相姦という作品の中心的テーマが、単なるセンセーショナリズムにとどまらず、家庭内での不均衡なジェンダー・ポリティクスへの問題提起となっていることを、当時の医学言説の見地もふまえて明らかにした。また、後者ではシェイクスピアの『十二夜』を扱い、作中の二人のヒロインが、結婚という一見父権的な制度に参入することを通じて、それを掘り崩すようなシスターフッドを形成していることを論証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の進捗状況は、おおむね順調に進展しており、当初の研究計画に大きな変更はない。2018年度に発表した論文および口頭発表は、最終年度に発表を予定している単著の下敷きとなる予定であり、最終的な成果発表への見通しはすでに立っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、2019年度も引き続き広範な資料調査を行いつつも、本研究課題の最終的な目標である単著の執筆をより具体的に視野に収め、徐々に成果発表へと軸足を移してゆく予定である。 その際、2018年度はいったん17世紀に遡って演劇における家族表象の淵源を探ったが、2019年度以降はなるべく近代以降の演劇を取り上げてゆく予定である。同様に、2017ー18年度においては、男性劇作家による戯曲を取り扱うことが多かったので、ジェンダー研究としての深度を高めるために、女性劇作家による作品の分析も積極的に行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた国内出張が、研究協力者とのスケジュール調整が難航したために2018年度末にずれ込み、支払いが2019年度になってしまったことや、研究に関わる電子機器の発注から納品に予想外の時間がかかることが判明し、一旦発注を見送ったために、9万円ほどの繰越金が発生した。 しかし、これらの繰越金は2019年度はじめには支払いを終える予定であり、研究期間全体を通じて考えた場合、研究費の執行はおおむね計画通りといえる。
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