研究課題/領域番号 |
17K02498
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
吉野 由起 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (90707291)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英文学史 / 叙事詩 / ロマン派 / ジャンル実験 / Walter Scott / James Hogg / フォーク・リヴァイヴァル |
研究実績の概要 |
当初の予定では、本年度は本研究課題の最終年度にあたる。過去3年間にわたって進めた文献調査に立脚して、ウォルター・スコットの詩作品の分析を行い、ケーススタディとしての個別の作品研究にもとづき、イギリス・ロマン派期文学・芸術運動におけるジャンル意識や叙事詩という形式・修辞法の位置を再考し、成果を論文にまとめる予定であった。 また夏期にはスコットランド国立図書館およびエディンバラ大学附属図書館での資料調査を集約して実施する予定であった。しかしながら新型コロナウイルスの影響が多方面に及び、英国に渡航して国立スコットランド図書館およびエディンバラ大学附属図書館で実施する予定であった資料調査が不可能になった上、本務校で遠隔授業を実施するための対応にも時間を要したため、本研究課題を遂行する期間を一年間延長する判断を行い、研究計画を修正した。 上記の事情により、本年度は5年間の遂行期間の4年目となった。成果発表の実績としては、5月には本研究課題の直接的な成果となる論文一篇が収録された論文集(木村正俊編『スコットランド文学の深層-場所・言語・想像力』春風社)が刊行された(論文タイトル:「叙事詩の創造ージェイムズ・ホッグ『女王の夜曲』と「羊飼いの暦」」、掲載頁117-138頁)。本年度の作業の進捗状況の具体的な内容としては、ウォルター・スコットによる物語詩Marmionにみられる叙事詩性、スコットによる叙事詩観の解明を目指し、スコットによる初期の歴史小説Waverleyの参照をはじめとする、文献資料の読解分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により、スコットランド国立図書館およびエディンバラ大学附属図書館等、英国における資料調査が不可能となった。また本務校での遠隔授業の対応に多大な時間と労力を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年から進めている(1)ウォルター・スコットによる物語詩Marmionと初期の歴史小説Waverleyにみられる叙事詩性、(2)スコットによる叙事詩観の解明を目指した文献資料の読解分析を継続し、イギリス・ロマン期文学・芸術運動におけるジャンル意識や叙事詩という形式・修辞法の意義を再考する作業を行う。結果を論文にまとめ、査読付き学術誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外(英国)における資料調査を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で、英国への渡航およびスコットランド国立図書館・エディンバラ大学附属図書館の利用の可否についても不透明な時期が続いているため。次年度は渡航による調査の実施の可能性について、諸情勢を注視しつつ検討を継続する。6月の段階で渡航による調査が現実的ではないとの判断に至った場合は、これを補うため、デジタル資料を含む文献資料やデータベースの購入・購読を追加し、このために必要な費用に充てる。
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