研究実績の概要 |
(1)Scott, The Lay of the Last Minstrelの叙事詩性を、自然、風景、ピクチャレスク言説への応答に焦点をあて検証を進め、後述(2)(3)のHoggおよびBurnの考察結果とあわせて、5月20日開催日本英文学会全国大会シンポジウム「英文学と風景」で発表した。また、前年度までに進めた小説Ivanhoeにおける森の表象の分析結果も含めた内容を、7月15日開催日本ケルト学会東京研究会と7月1日開催イギリス・ロマン派学会ロマン派講座で報告し、様々な分野の研究者のフィードバックを得つつ、一般来場者に対する研究成果の還元も目指した。シンポジウムの口頭発表内容を発展させた論文の執筆にも着手したが、年度内には完成に至らなかった。 (2)Hoggの田園詩・叙事詩についてはBurnsとScottとの比較も継続しつつ検証を継続した。初期の田園詩集 Scottish Pastoralsの作品分析を継続し、2024年8月刊行予定の共著書『スコットランドの詩と音楽』収録予定の入稿済みの章について編集者のフィードバックをもとに推敲と再入稿を完了し、掲載する図版の検討など出版に向けて作業を進めた。またBurnsの影響を再確認し、後述(3)のBurnsの作品分析を予定より踏み込んで進めた。 (3)ScottやHoggが叙事詩様の作品を創造する上で、意識や参照を行ったと思われるBurnsの作品群で、叙事詩の重要な構成要素である自然の描写がどのように展開しているかという問題を考察するため、ケース・スタディとして、自然の事物を扱った作品数篇を分析し、Burnsが同時代に形成が進行したピクチャレスク言説にどのように反応し関与したかを考察した。分析結果の一端を上述のシンポジウムや研究会で発表した。 (4)本研究の問題意識から上述のシンポジウム「英文学と風景」を企画し、司会および発表も担当した。
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