研究実績の概要 |
本年度は、John Fletcher, The Tamer Tamedを研究の中心に置き、この劇におけるキルケ神話の表象について、William ShakespeareのThe Taming of the Shrew、The Merry Wives of Windsorなどとの比較における分析を試み、この成果を、'Circean Wives and Blending of Myths in The Merry Wives of Windsor'として口頭発表した。本発表では、女性登場人物たちが男性登場人物の姿を様々に変える様相をキルケ神話と重ね合わせながら分析し、特に、その中でフォールスタフが魔女に変装させられることに注目した。さらに、この劇のサブテクストとして従来から指摘されてきたアクテオン神話との混交について考察をした。 上記の発表論文作成の過程で、複数の神話が初期近代演劇テクストのサブテクストとなっていることが確認されたため、初期近代英国演劇と古典古代神話一般に関する考察を進め、中でもトロイ神話ついての考察の一部を、'Hybrids and Bastards: The Erosion of Trojan and Greek Identities in Troilus and Cressida',「『ハムレット』のヘキュバ――“The mobled / inobled queen”」として発表した。 あわせて、Henry Iden, Circeの本文校訂を進め、この著作の初期刊本の2つのヴァリアントを比較しながら、本文テクストの整理を行い、これについては概ね完成し、引き続き注釈の作成を始めている。
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