従来の世界シェイクスピア上演研究は、主に、役者と観客の感覚(特に視覚、聴覚)や知覚―役者はどのように演じるのか(見せるのか、話すのか、動作をするのか)、観客はどのように感じたり反応したりするのか―を解明しようとしてきた。本研究では、上演が観客の認知(知識表現、記憶、知識獲得、概念形成などの人間の知的な働き)に与えるインパクトの一端を解明した。さらに、特に連続するフィードバック・ループ(繰り返し)によって上演されるSleep No Moreのような没入型演劇の場合、上演が認知を拡張する可能性があり、この点からも認知的アプローチをさらに推進するべきであると提案した。
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