本研究では「共感の教育」という概念を軸に3人の作家たちにおける教育と文学の関りを検証した。Dickensは共感の教育を読者に施すことが小説の役割と定義し、作家としての地位を確立し、Gaskellは階級の違いを超えて共感し合う登場人物を描くことで現実社会の階級対立を解消しようとした。他方、Gissingは労働者階級への安易な共感を否定し、その現実を描写し世に知らしめることが作家の教育的使命と考えた。文学の教育的意義をめぐる作家の姿勢の変遷を辿ることができたことは本研究の意義である。こうした成果は、現代における文学と教育的意義を考察する上でも重要な知見を提供するものである。
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