最終年度は主に英国ロンドンの大英図書館とノリッジにおける近代初期のユグノー移民の文献資料や関連一次資料のデータ収集を実施した。国立公文書館や教会、美術館や博物館などで研究資料を収集し、ユグノー移民の資料アーカイブを構築し、デジタル化と分類を進めた。またバースやジョーンズ 、それに各博物館や公文書館の学芸員に研究調査の協力を求め、新教徒移民に関する図像・文字文献のアーカイブの構築・分類を行った。 前年度以降、構築する新教徒移民関係資料のアーカイブを順次デジタル化する過程で、英国における大陸からの印刷文化の影響を考察する際の分類方法としては、ジョーンズ (2010)の手法に従い、国別には主に「フランス」からの影響を、またジャンル別分類作業としては、主に「文学、演劇、美術、装飾、ファッション」に分類しながら、それぞれにおける特徴の分析を進めた。 また上記で作成したアーカイブや移民文化研究、応用エンブレム学の成果を活用し、研究論文にまとめ、国内の学会で発表した。日本シェイクスピア協会主催の第58回シェイクスピア学会では、「セミナー2シェイクスピアと同時代(前後)の宗教と視覚文化」のコーディネーターを務め、ポスト・リフォーメーション英国における視覚経験の再構築について発表を行い、その成果を青山学院大学『経済論集』に掲載した。 また、ロンドン大学のサンドラ・クラーク教授の来日に合わせて広島大学、関西学院大学、京都大学、青山学院大学で開催された講演会とワークショップにおいて、同分野の国内外の研究者多数と交流して関連分野の研究情報交換を行った。その成果の一部は青山学院大学『経済論集』に共同執筆論文として掲載が確定している。
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