研究課題
基盤研究(C)
本研究では、初期近代イングランドにおける外交政策、地中海貿易や宗教的対立といった新たな切り口によってイスラム教国モロッコ、トルコやペルシャを再認識しようとする歴史実証主義に基づく方法論によって、イスラム世界を題材とした演劇作品を歴史事象的に検証した。研究の結果、執筆・上演された時期のイングランドのバーバリー地域に対する政治的、経済的そして宗教的な文脈がイスラム世界を描いた演劇作品の主題を形成していたことを明らかにした。
初期近代イギリス演劇研究
イングランドないしヨーロッパの政治的、経済的及び宗教的な文脈から初期近代イングランドの演劇作品をとらえる従来の研究にイスラム世界の視点を加えることができ、より重層的な演劇理解を可能にした。また、北アフリカ、中近東及びヨーロッパ諸国間のパワーバランスが初期近代の底流をなしていたことを明らかにしたことにより、これらの地域に対する国際理解の一助となりえたと思う。