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2017 年度 実施状況報告書

エミリ・ディキンスンの宗教メタファーに関する分析

研究課題

研究課題/領域番号 17K02537
研究機関茨城大学

研究代表者

小泉 由美子  茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (60178556)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードエミリ・ディキンスン / 宗教詩 / メタファー / 自然 / 科学 / 新カルヴィン主義
研究実績の概要

A. 日本 エミリィ・ディキンスン学会第32回大会シンポ研究発表(2017/6/17)駒澤大学
『ディキンスンの風景表象』というシンポジアムを企画し、5名のスピーカーの一人として、「ディキンスンの風景詩学を考える」というテーマで研究発表した。19世紀ピクチャレスクアメリカの時代、ディキンスンは当時の男性作家、画家とは異なるアングルから風景を思索し、反ピクチャレスク詩人として国威発揚を目指す男性芸術家のサブライムを解体した有様を分析した。ホリオーク山からの眺望は男性芸術家にとって支配のメタファーとして描かれたが、ディキンスンは反支配的、地上的、人間の視点で彼方の世界を描いた。彼女はロマン派の系譜に属するが,「私の窓から見える景観は」という作品では神と自然は明確に分けられている。具体的事物「松」を媒介にし神を探し求めているその態度にこそ、当時のキリスト教福音主義に対する詩人の考えが反映されていると分析した。
B. 研究論文(要旨)、The Emily Dickinson Review No.5, pp.39-43, (2018/3/30) 日本エミリィ・ディキンスン学会。上記の研究発表の要旨を「ディキンスンの風景詩学を考える」、"Emily Dickinson Looks at the American Scenery in 'By my Window have I for Scenery'"としてまとめた。
C. その他①「エミリ・ディキンスン代表詩10選」(『現代詩手帖』2017年8月「ディキンスン特集」、p.22, pp. 28-29)。訳・訳注「主よ 私の命を紐で縛ってください」「私の窓から見える景観は」を担当。その他②ディキンスン学会首都圏地区研究会第11回研究発表(2018/3/10)早稲田大学戸山キャンパス「冬の詩人としてのディキンスン」

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「エミリ・ディキンスンの宗教メタファーに関する分析」に関わる中心的テーマ、19世紀米国東海岸におけるキリスト教福音主義者間での議論、自然、宗教、科学の複雑な相互関係を解読するための詩人の代表作を選び出し、分析を開始することはできた。
しかし、平成30年度研究休暇取得することが可能となり、現地文献収集を平成30年度に集中して行うことに計画を変更した。その変更に伴い、平成29年度は、19世紀米国東海岸における宗教関連資料の収集を実施することができなかった。従って、詩分析において19世紀宗教文化の文脈で解読することはできていない。
また、現地文献収集および読解を1年延期したことにより、宗教関連資料リスト作成、当時の説教集、宗教関連資料等の読解ができず、19世紀米国東海岸における宗教文化の歴史的文脈において、ディキンスンの宗教詩における自然の事物を使用した宗教メタファーが、当時の自然神学の議論と、どの様に関連しているのかを解明できていない。

今後の研究の推進方策

平成30年度、研究休暇を取り、4月と8月に複数回渡米し、特にアマーストとボストンを中心に19世紀東海岸における宗教関連資料を収集し、解読する予定である。日本に帰国した時に論文執筆を集中的に行う。
詩人の生地アマーストにあるJones Library, Frost Libraryにおいては、当時の宗教、自然科学、歴史資料等の収集・読解をし、Williston Libraryにおいては、当時詩人がマウントホリオーク神学校にて教科書として読解したキリスト教福音主義関連資料と自然科学の教科書を読解する。またハーバード大学、Houghton Libraryにてディキンスン家蔵書に収められた聖書コンコーダンス等から詩人の具体的宗教メタファー使用を特定化する。時間が許せば、Boston Public Libraryにて、1860年代に出版されたThe Boston Reviewを読解し、当時の福音主義者たちがジョン・ラスキンの思想をいかに受容したか考察し、ディキンスンとラスキン思想の関連を探りたい。
詩分析の論文は2本書く予定であり、平成31年度EDISの国際会議で発表予定の論文の執筆も開始する。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度研究休暇を取得することが可能となったので、平成29年度計画していた米国出張を中止し、平成30年度に複数回、現地文献収集を実施する計画に変更したため、次年度使用額が生じた。
平成30年度、現地文献収集のため、4月、8月に米国出張し、速やかに残額を使用する予定である。

備考

1.「エミリ・ディキンスン代表詩10選」(『現代詩手帖』2017年8月号「ディキンスン特集」p.22, pp.28-29)。
2. ディキンスン学会首都圏地区研究会第11回研究発表(2018/3/10) 早稲田大学戸山キャンパス「冬の詩人としてのディキンスン」

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 「ディキンスンの風景詩学を考える」2018

    • 著者名/発表者名
      小泉 由美子
    • 雑誌名

      The Emily Dickinson Review

      巻: No.5 ページ: 39-43

  • [学会発表] 「ディキンスンの風景詩学を考える」2017

    • 著者名/発表者名
      小泉 由美子
    • 学会等名
      日本エミリィ・ディキンスン学会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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