研究課題/領域番号 |
17K02541
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
杉野 健太郎 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (40216320)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 宗教 / モダンな信仰 / フィッツジェラルド / 映画 / グレート・ギャツビー / 夜はやさし / モダン/ポストモダン |
研究実績の概要 |
まず次の学会シンポジウムに参加した。学会シンポジウム「フィッツジェラルドと映画」、日本F.スコット・フィッツジェラルド協会2019年度全国大会、2019年9月7日、早稲田大学。高野泰志、渡邉俊、和氣一成と共同。
上記シンポジウムで発表した論考を収録した単編著書で杉野健太郎編『アメリカ文学と映画』(三修社、2019年10月30日)を刊行した。その論考は、「モダン/ポストモダンな『グレート・ギャツビー』」(pp.122-39)である。本論文では、本研究と深い関りがあるモダニティ/ポストモダニティの問題を扱った。小説でもその問題は扱われているが、小説の映画版(2013年)においてよりいっそう顕著であると論じた。モダニティ/ポストモダニティは、当然ながら、本研究の課題である近代化、世俗化、宗教と大いに関係がある。
また、本研究に最も近い英語論文を日本F.スコット・フィッツジェラルド協会のジャーナルに発表した。Sugino, Kentaro. “Pious Fitzgerald: The Great Gatsby and Modern Belief.” F. Scott Fitzgerald Review of Japan, no.3. 2020. pp.7-27 本論文は、モダニティ/ポストモダニティの問題と絡めながら、小説The Great Gatsbyおよび次作Tender is the Nightにおける宗教問題を扱ったものである。The Great Gatsbyにおいては、F・スコット・フィッツジェラルドの小説のなかでは最も宗教性が強く顕現し、その宗教性はモダンな信仰であり、その信仰は次作『夜はやさし』において超越性の喪失とともに失われると論証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フィッツジェラルドの主要長編小説5作のうち、最も重要な2作The Great Gatsbyおよびその小説とTender is the Nightとの関係に関しての研究をほぼ終えた状況である。 本課題にとって最も重要な2作品だが、思った以上に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
F. Scott Fitzgeeraldの出版順ではなく、重要2作品から論じ、この2作品に関する研究はほぼ終了した。ただ、Fitzgeraldの一番重要で核になる小説であるThe Great Gatsby論は単独で書物にまとめたいと考えている。しかし、いずれにせよ、最初の小説This Side of Paradiseと第二作The Beautiful and Damnedの研究にとりかかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
学部の教員が転出し、入試委員会委員長になり、9月に予定していた海外調査出張に出かけられなかった。また、年度末のコロナ禍のために、3月に再度予定した海外調査出張に出かけられなかったため。 この海外調査出張は、コロナ禍の様子を見ながら、次年度に可能な限り行いたい。また、次年度使用額は当初の予定通り使用する予定である。
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