研究課題/領域番号 |
17K02547
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
城戸 光世 広島大学, 総合科学研究科, 准教授 (10351991)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 19世紀アメリカ文学 / アメリカ女性作家 / 旅行記 / Travel Writing / Sarah Orne Jewett |
研究実績の概要 |
本年度は、おもに19世紀の女性作家たちのトラヴェルライティングの全体像を調査考察するとともに、個別具体的には、19世紀後半の女性作家、とりわけSarah Orne Jewettの作品における女性や自然との共生関係が、作品の語り手である旅行者、一時滞在者としてのスタンスとどのようにかかわりあっているのかについて考察し、3つの研究発表の中でその研究成果を発表した。 1「ポストロマン主義時代のエコロジカル・ユートピア――Sarah Orne Jewett作品における自然と人の共生コミュニティ」日本英文学会九州支部第70回年次大会シンポジウム「ソローの影響力」(2017年10月21日(土)、長崎大学文教キャンパス)、2 "Travellers in Ecological Communities: Reading Sarah Orne Jewett in the Age of Ethical Turn"International Workshop "Transcendent Women in the Long 19th Century"(2017年11月10日(金曜日)、広島大学東広島キャンパス)、3 「19世紀アメリカ文学研究におけるTurn to Ethics――ホーソーン及びジュエット作品にみる〈親密圏〉の諸相」日本ナサニエル・ホーソーン協会関西支部3月例会シンポジウム「19世紀アメリカ文学における親密圏の形成――〈他者〉と〈共感〉をめぐって」(平成30年3月25日(日)、関西学院大学大阪梅田キャンパス)がその成果である。 1については平成30年度の英文学会大会Proceedingsにその概要を掲載予定となっている。 また旅行記や特定の場所の案内記としてイギリスでは19世紀以前から観光地化していた湖水地方のものが資料も豊富であるため、本年度は当該地区に行き、そこで研究センター及び図書館などを利用して文献調査・資料収集を行った。その研究成果については次年度に発表や論文の形でまとめ報告予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定していた計画とは順番が異なるものの、研究課題である19世紀アメリカ東部で活躍した女性作家のうち、自身も欧米中南米に広く旅をし、旅に深く関わりのある作品を書いたSarah Orne Jewettと19世紀後半のアメリカ文学の出版事情について調査し、その成果を発表することができた。また次年度に予定しているイギリス・ロマン派学会でのシンポジウム発表のための資料収集と現地調査のため、イギリスに渡航し多くの資料を収集できたことは大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
19世紀女性作家の旅行文学とナチュラル・ヒストリーとの関係について、イギリス・ロマン派学会の大会シンポジウムへの招待を契機として考察することを予定しており、そのための資料収集として、ハリエット・マーティノーが晩年を過ごし、フラーも滞在したイギリスの湖水地方のロマン派研究センター及び19世紀英米のトランスアトランティック交流の中継点であったリヴァプールに赴き文献調査を行った。その成果を平成30年31年にわたって研究発表や論文の形でまとめて成果報告を行う予定である。とりわけワーズワスやマーティノーらイギリス人作家の湖水地方案内と、ホーソーンやフラーらの自然表象や観察記述の違いも考察してみたい。また当初予定していたフラーやカークランドらアメリカ西部の女性作家の旅行記についても平成30年度に文献調査及び資料収集を行い、研究成果を報告する予定である。
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