旅行記研究は、ジェンダー、人種やエスニシティ、ポストコロニアリズムといった様々な観点から、また人類学や地理学といった異なる専門分野と領域横断的に関心を共有する点からも、21世紀に入って研究が盛んになってきた分野である。イギリス文学についてはいくつか日本でも優れた研究が登場しているものの、アメリカ文学については散発的に研究が見られる程度であり、まだその研究は端緒についたばかりだと言える。本研究課題では、交通革命の起こった19世紀アメリカの女性作家たちの旅行記に注目し、数多くの学会シンポジウムや共著論文等でそのテクスト分析と報告を行い、このジャンルとその研究の重要性を周知させたことに意義がある。
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