研究課題/領域番号 |
17K02555
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
島貫 香代子 関西学院大学, 商学部, 准教授 (30724893)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ウィリアム・フォークナー / アメリカ文学 / William Faulkner / American Literature |
研究実績の概要 |
平成30年度はウィリアム・フォークナーの『標識塔』、『野性の棕櫚』、『征服されざる人々』、『シャーウッド・アンダソンと他の有名なクレオールたち』における住まいと暮らしに関する資料収集・現地調査・研究発表・論文執筆を行った。平成31年2月から3月にかけてルイジアナ州ニューオーリンズ近辺で資料収集・現地調査を行い、『標識塔』と『野性の棕櫚』に関する考察を深めると同時に、新たな着想を得て作品理解のヒントを探ることができた。現在、これらの成果を研究論文にまとめているところである。 今年度の研究成果としては、平成30年9月の日本ウィリアム・フォークナー協会全国大会における『野性の棕櫚』に関する口頭発表と、同年10月出版の『ノンフィクションの英米文学』(富士川義之編、金星堂)に掲載された『シャーウッド・アンダソンと他の有名なクレオールたち』に関する共著論文である。これらの学会活動や共同研究を通じて、他のフォークナー研究者やアメリカ文学者とともに有意義な情報交換や意見交換を行うことができた。また、『征服されざる人々』に関する研究論文を執筆したが、これは平成31年度(令和元年度)の前半に共著のかたちで世に出る予定である。 これまでと同様、今年度も資料収集を継続的に行い、知見を広げるように努力した。特にフォークナーに関する先行研究の調査・分析に多くの時間を費やすことで、自らの問題関心を深めたり、最新の研究動向をつかんだりした。資料収集を通して、フォークナー以外の作家、アメリカ南部以外の場所、20世紀前半以外の時代にも目を配り、広い視野を持つことができた。映画や演劇といった文学の隣接分野からも大きな示唆を得た。これらの継続的な研究活動は、上記の具体的な研究成果に大なり小なり寄与している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に大きな変更がなく、一定の研究成果を収めることができているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、平成29年度および平成30年度に行った現地調査の結果や資料収集の精査をもとに、フォークナーの非ヨクナパトーファ作品に焦点を当て、生活空間の表象に関する研究成果をまとめることに注力する。具体的には、所属学会の学会誌や所属大学の紀要への論文投稿などを通して、研究成果を公表することを目指す。それと同時に、資料収集と文献精査を継続的に行う。当初、最終年度に現地調査は行わない予定であったが、これまでの支給額をいくらか繰り越しているため、研究計画を変更して、テキサス大学オースティン校のハリー・ランサム・センターにおいて資料収集・調査を行う方向で検討している。学会や研究会では、なるべく広い視野で研究を進めるべく、他のフォークナー研究者やアメリカ文学者などと情報・意見交換を積極的に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の物品費と旅費の執行を当初予定よりも抑えることができたため、次年度使用額が生じた。次年度はフォークナー関係の資料が数多く保管されているテキサス大学オースティン校のハリー・ランサム・センターを訪問する予定であるため、その旅費に充てることとする。
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