研究課題/領域番号 |
17K02558
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
冨田 爽子 拓殖大学, 付置研究所, 客員研究員 (30197925)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 英国ルネッサンス / イタリア / エドワード6世時代 / 印刷・出版業者 / プロテスタンティズム / スティーヴン・ミールドマン / カテキズム / 文化受容 |
研究実績の概要 |
エリザベス朝文学の研究において、イタリアの影響を考えることは大きな意義がある。シェイクスピアの戯曲の上演を人々は上流階級の人々も、また一般の庶民もそれぞれのイタリア文化理解のレヴェルで楽しんでいた。しかしエリザベス以前のエドワード時代には、英国はイタリアの影響がなかったとされている。果たしてそうであったろうか?エリザベス時代に見られる熱狂的なイタリアかぶれは、突如として興ったものであったのだろうか?本研究は、その真偽を考察する。 エドワード時代はたった6年半の短い治世であったが、英国にプロテスタンティズムの風が吹き荒れた時代であった。大陸におけるカールV のプロテスタントへの締め付けで、多くのプロテスタント達が英国に流れてきた。 また、同時にこの時代は印刷出版が急速に発展し、大量の本が社会に溢れた時代でもある。本に対する価値観が大きく変わり、政府はこれをプロテスタンティズム振興の手 段として活用した。本研究者はこの2つの要素が、イタリアの影響の有り様にも色濃く反映していると考える。 さらにこのような時代の流れに乗って、それまで大陸の出版業界から大きく遅れを取っていた印刷業者、出版業者の活動にも変化が起こった。エドワード時代のイタリアの影響とは何か?宮廷を中心とした上流階級のイタリアへの関心についてはヘンリーVII の時代から周知の事実であるが、国民一般はイタリアを既に意識していたのであろうか?これに対する答えを、この時代に英国で出版された現存する全出版物の中で、イタリア本が今まで考えられていた以上に多く出版されていることを指摘する。特に他とは異なる希少価値を持つ1冊に着目してその意義を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はエドワード6世時代に英国で出版された書物について、印刷・出版の観点から考察するため、当時出版されたオリジナルの書物に一冊づつあたって、 様々な観点から検討することが必要であるが、コロナ・ウィルスの蔓延のため、英国やイタリアへ渡航することがかなわなかった。取りあえず、電子媒体による 調査をしてきたが、次年度渡航が実現できれば、実物にあたって、確認作業をしたいと考えている。今までの研究成果は2本の論文にまとめ紀要で出版した。
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今後の研究の推進方策 |
1昨年10月に日本シェイクスピア協会の学会で発表して、好評をいただくことができた研究成果を踏まえて加筆修正を行い、さらに注目すべき印刷業者スティーヴン・ミールドマンの英国における活動についての考察を行い、2本の論文にまとめ紀要に掲載した。来年度中にこの論文の英語版を作成してひとまずエドワード6世時代についての考察を終わらせ、次のメアリー1世時代の研究に進みたいと考えている。現在、現存するテューダー朝全体の出版物のデータベースを作成中であり、最終目標はテューダー朝においてイタリアが英文学にどのような影響を与えたのかを研究したいと考 えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究遂行のための英国及びイタリアへの出張がコロナ・ウィルス蔓延のため不可能になったため、やむを得ず、研究書やジャーナルなどを使って研究を続行し た。次年度には是非、現地に赴いて、残された調査を遂行したいと考えている。もし渡航が困難な場合は、引き続き、研究書などを活用したいと考えている。本 研究はテューダー朝全体についての研究の一部であるので、次年度で現地調査が実現できない場合は、先にメアリー1世時代の調査に入りたいと考えている。
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