研究課題/領域番号 |
17K02561
|
研究機関 | 都留文科大学 |
研究代表者 |
齊藤 みどり 都留文科大学, 文学部, 准教授 (30759858)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 環境批評 / フェミニズム / ポストコロニアリズム / 植民地主義 / ジェンダー / カリブ文学 / 比較文学 |
研究実績の概要 |
本年度はマリー・ヴュー・ショーヴ(Marie Vieux-Chauvet)の『愛、怒り、狂気』(1968)を中心に、自然と女性の搾取が、彼女の3部作でどのように関連づけられ、表現されているかについて日本語で研究をまとめたとともに、ポーリーン・メルヴィルの作品における自然と女性の表象についても分析した。 本年度前半は、ハイチの文学と自然について、マリー・ヴュー・ショーヴの作品を中心に英語でまとめたものを日本語に訳し、「マリー・ヴュー・ショヴェ『愛、怒り、狂気』について」として、第 25 回文学・環境学会のシンポジウム「カリブ海地域の文学と動物、環境、自然」のパネリストの一人として発表した。(齊藤みどり、「マリー・ヴュー・ショヴェ『愛、怒り、狂気』について」(シンポジウム「カリブ海地域の文学と動物、環境、自然」内の発表、第 25 回 ASLE-Japan/文学・環境学会 2019年8月31日) 後半では、ガイアナ出身で英国在住のポーリーン・メルヴィル(Pauline Melville)のThe Migration of Ghosts(1998)について考察した。特に“The Sparkling Bitch” と“Erzulie”という作品を中心に、植民地主義以降のナイジェリアとガイアナを舞台にして、Melvilleが継続する女性と自然の抑圧と搾取をどのように表現したのかを論じた。これは前年度に国際学会で発表したものであるが、大幅に書き直して、論文としてまとめて学会誌に発表した。(齊藤みどり、Reading Pauline Melville's The Migration of Ghosts『文学と環境』 (22) 15 - 22 2019年10月)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
該当年度は研究を発表と論文という形で以下のように2つにまとめて、日本語でも英語でも公表することができた。 1)(発表)齊藤みどり、「マリー・ヴュー・ショヴェ『愛、怒り、狂気』について」シンポジウム「カリブ海地域の文学と動物、環境、自然 」内の発表、 第 25 回 ASLE-Japan/文学・環境学会 2019年8月31日、 2)(論文)齊藤みどり、Reading Pauline Melville's The Migration of Ghosts『文学と環境』(22) 15 - 22 2019年10月 研究は本年度前半についてはおおむね予定どおりに進んだが、春には入院したため原稿は病院で執筆した。さらに夏以降は台風の被害を受けたために、予定していたより研究が思うようには進まなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度に予定していた、現代のカリブ作家による女性と自然についての問題意識をまとめることができなかったので、今年はエドウィージ・ダンティカを中心に、女性と自然をどのように彼女がとらえているか調査をしてまとめたいと思う。余裕があれば他の現代の作家についても調査したいと願っている。本年度はコロナの影響で学会参加や学会発表が困難になるのが予想されるため、論文を国内の学会誌に発表することを目指している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度に入院したためと、夏以降の台風などの災害により、遠方への学会参加ができなかった。そのために期間を一年延長して頂いた。 本年度は、未使用の助成金を、主に研究遂行のための図書購入に使用したい。購入した図書を使用して、本研究課題の総括となるような論文を執筆したい。
|