カリブ文学における環境批評の中でも女性作家の作品を扱ったものは少なく、また言語も英語圏に偏っているため、カリブ文学における環境批評を包括的に行うには言語的な横断が必要であった。特にカリブの環境と女性の抑圧について多大な関心を示したマリー・ヴュー・ショヴェの作品は日本ではほとんど論じられてこなかった。同じハイチ出身の女性作家でありながら、使用言語が異なるために比較研究されなかったショヴェの作品とダンティカの作品を比較し、ダンティカの作品の根幹にショヴェの思想があることが解明できたのは意義があると考える。また、研究の少ないポーリーン・メルヴィルの作品も分析できたことは成果である。
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