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2019 年度 実施状況報告書

アメリカにおける「慰安婦」の記憶表象―小説とモニュメントの考察

研究課題

研究課題/領域番号 17K02563
研究機関東京都市大学

研究代表者

寺澤 由紀子  東京都市大学, 共通教育部, 准教授 (50409439)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード「慰安婦」 / トラウマ / 記憶表象 / ポストメモリー
研究実績の概要

本研究は、「慰安婦」の記憶が、小説やモニュメントといった文化的産物を通して想起される試みや、再現された記憶が個人や社会に与える影響を考察するものである。今年度も引き続き、研究基盤となる「慰安婦」・「慰安婦」像をめぐる文献、トラウマ研究や記憶表象についての文献、ビデオ証言やメモリアルに焦点を充てた文献の整理、収集、分析を行った。ただ、初年度以来諸事情により延期となっていたアメリカ・韓国での調査を、2~3月にかけて実施する予定でいたが、コロナ禍により断念せざるを得なくなってしまった。また今後の海外出張の可能性も不透明な中、本研究の目的の1つであった「モニュメントにおける記憶の表象」についてはおそらく次年度中にも考察を進めるのが難しいことが予測されるため、モニュメントを主たる研究対象からはずし、小説を中心に、映画やグラフィックノベルに焦点を充てることを考えるに至った。映画における「言葉」と「動画」を通しての表象のあり方や影響の考察は、フィクションおよびドキュメンタリーの両方向からすでに着手しているが、キム・ジェンドリ・グムスクによるグラフィックノベルGrassに出会い、2月に著者の講演会を拝聴したことで、題材は違えど、ポストメモリーという見地から、ホロコーストの記憶を扱ったArt SpiegelmanのMausとの比較考察を進めるきっかけを得た。モニュメントの考察という本研究の柱は揺らいでいるものの、異なる媒体における同一の記憶の表象、同じ媒体を利用した異なる記憶の表象という2つの角度からの考察に踏み込む方向性が明確となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

初年度から実施できないでいた、韓国およびアメリカでの調査を春季に実施する予定だったが、コロナ禍により中止せざるを得ない状況となった。また家庭の事情も影響し、十分な研究時間が確保できず、満足のいく成果を上げられなかった。

今後の研究の推進方策

海外での調査は、しばらくは実施できないものと考え、当面は文献調査を引き続き行うと共に、当初の研究対象をモニュメントにおける記憶の表象から、小説・映画・グラフィックノベルにおける記憶の表象に焦点を移すこととする。そして、それらの研究成果を論文および学会にて発表する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた海外での調査が実施できず、それに伴い、通訳やデータ処理などの人件費を使用しなかったことによる。また、パソコンを春季に購入する予定だったが、コロナによる製造・流通への影響により、希望していた物品の納品が年度内にかなわなかった。
次年度には、パソコンやソフト類の購入、学会への参加費用に使用する予定である。また、状況次第で韓国およびアメリカへの出張が可能となれば、それに伴う諸費用にあてることになる。

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公開日: 2021-01-27  

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