• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

アメリカにおける「慰安婦」の記憶表象―小説とモニュメントの考察

研究課題

研究課題/領域番号 17K02563
研究機関東京都市大学

研究代表者

寺澤 由紀子  東京都市大学, 共通教育部, 准教授 (50409439)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード「慰安婦」 / トラウマ / 記憶表象 / ポストメモリー
研究実績の概要

本研究は、「慰安婦」の記憶が、小説やモニュメントといった文化的産物を通して想起される試みや、再現された記憶が個人や社会に与える影響を考察することを目的としていたが、コロナ禍により、アメリカ・韓国における「慰安婦」像の実地調査が実施できなくなったため、当該年度は、モニュメントを主眼からはずし、小説、グラフィックノベル、ドキュメンタリー映画における記憶の表象に焦点を当てて研究を進めた。その中で、グラフィックノベルについては、「慰安婦」の記憶を扱ったキム・ジェンドリ・グムスクのGrassとホロコーストの記憶を扱ったArt SpiegelmanのMausを比較し、記憶表象における視覚的イメージが果たす役割や、想起する記憶の違いが想起する過程や表象内容に及ぼし得る影響の有無について考察を進めている。ドキュメンタリー映画については、当初「慰安婦」として性暴力被害を受けた方々についての映画を扱う予定だったが、「慰安婦」論争を扱ったMiki Dezaki監督の『主戦場』を取り上げることで、記憶の可視化/不可視化の試みだけでなく、その試み自体がどのように可視化/不可視化されているかという点にも目を向けている。いずれにおいても、「現場」ではない場所で、同じ民族ではありながら直接的にその記憶を体験していない者たちによって想起が行われていることに着目しながら研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究方針を変更したことにより、新たな文献収集、調査に時間を要している。また、コロナ禍による調査の制限、コロナ対応による校務の増加が引き続いていることに加えて、家庭の事情も影響し、研究が遅れている。

今後の研究の推進方策

研究概要で述べた進行中の考察の成果を、国内学会、国際学会での研究発表および論文として形に残す。また、コロナの状況次第で可能となれば、中断していた実地調査を実施する。

次年度使用額が生じた理由

海外での調査が実施できず、通訳やデータ処理などの人件費を使用しなかったことによる。次年度は、さらなる文献収集や学会への参加費用に使用する予定である。状況次第で韓国、アメリカへの出張が可能となれば、それに伴う諸費用にもあてる予定である。

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi