本研究では、21世紀転換期以降のカナダマイノリティ文学における「笑い」の手法とその政治的戦略を考察した。21世紀転換期以降のマイノリティ文学に「笑い」の手法が用いられるようになったことに着目し、それが複雑に働き続けている権力構造へ問題提起し、社会正義を提唱する有用な手立てと成り得ることを示した。本研究では、「笑い」の手法がどのように①支配者側の設定した枠組みに揺さぶりをかけ、②不平等を維持するその権力構造に問題提起し、③既存のステレオタイプを打破し、また④どのような癒しと和解の可能性を提示しているかを考察することで、「笑い」の手法とそのポリティクスを明らかにした。
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