研究課題/領域番号 |
17K02567
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中西 佳世子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (10524514)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アメリカン・ルネサンス / ナサニエル・ホーソーン / アメリカ海軍 / 海洋国家 / 文学的想像力 / ペリー / ミンストレル / 日本開国 |
研究実績の概要 |
今年度は共著『精読という迷宮―アメリカ文学のメタリーディング』に収録の「「手堅い現金」と「泡のごとき功名」ーホーソーンの創作と報酬」(松籟社 2019年9月)を出版した。本論文では、デビュー時に親友の海軍士官ブリッジから受けた金銭的援助に対する恩義を、ホーソーンがどのように作品に描いているかを精読を通じて考察し、創作活動を継続するために、彼が海軍に関わる政治職への就任をどのように位置付けていたのかを論じた。 2018年刊行の共編著『海洋国家アメリカの文学的想像力―海軍言説とアンテベラムの作家たちー』の書評(竹内勝徳著)が『アメリカ文学研究』第56号(pp.42-51)に掲載となり、それに伴い、林以知郎氏との共著による本著の英文サマリーが『The Journal of the American Literature Society of Japan』の第18号(pp.98-100)に収録された。 前年度に引き続き、アフリカ艦隊のペリーの旗艦船サラトガ号に同行したブリッジの『アフリカ巡航日誌』(ホーソーン編纂)の翻訳研究会を東京海洋大学の大野美砂氏と継続してきたが、今年度は翻訳の見直しに加え、Historical Dictionary of LiberiaやAfrican Repositoryなどの資料を用いて、アフリカの地名やリベリア植民地の史実の検証ならびに注の編纂を行ってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年の前半は上述の出版を行い、学会への参加などによって本研究に関する知見を得ることが出来たが、12月より怪我による長期の療養が必要となり研究が滞った。また復帰後の2020年には新型コロナウィルス感染症の拡大が広がり、学会参加ならびに研究調査の出張が不可能となったため研究の遂行が大幅に遅れることとなり、補助事業期間延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度における科研費執行延期が承認されたが、現時点では新型コロナウィルス感染症の拡大の収束の見通しは立たず、当初予定していた国内外の出張調査を行うことは難しいと思われる。そこで収集してきた関連文献の読み込みとこれまでの研究成果の出版、ならびに翻訳出版準備を中心に進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年12月8日、学会参加中に建物内で段差に気づかず転倒、左膝蓋骨を骨折し、手術を受け、入院と療養が続き、研究と予算の執行ができない状況で補助事業期間延期の申請を行いました。延期期間での予算額は241851円となります。現在新型コロナ感染症拡大を受けて、大学研究室に出向いての作業、調査出張における予算執行の目処が立ちません。そこで在宅での研究、遠隔会議(研究会)を行う環境整備のための物品費として約200000円(PC+付属品170000円、プリンタ30000円)、その他として約40000円(書籍代、文献取寄せなど)の内訳で予算の執行を計画しています。
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