本研究では19世紀の海洋国家としてのアメリカの側面に注目し、ナサニエル・ホーソーン作品とマシュー・C・ペリーの艦隊記録を中心に、海軍言説と文学との結びつきを考察した。複数の研究者による論集『海洋国家と文学的想像力―海軍言説とアンテベラムの作家たち』では個別の作家に注目するだけでは見えてこない19世紀の海軍ならびに海軍言説と文学との多角的な関係性が可視化された。またアメリカ海軍の艦上劇で行われたミンストレルショーの文化的意義という問題の重要性が浮上した。アメリカ特有の人種差別的なショーが日米和親条約締結後に日本人に披露されたことの文化的意義を明らかにすることが新たに獲得した科研費研究課題となる。
|