研究課題/領域番号 |
17K02579
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
渡邉 真理子 西九州大学, 子ども学部, 准教授 (70389394)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヴェトナム戦争 / ジェイ・マキナニー / ティム・オブライエン / ポスト9.11文学 / 戦争小説 |
研究実績の概要 |
まず、ティム・オブライエンのヴェトナム戦争小説群に関してはアメリカ文学サバイバル研究会で報告を行いながら論文執筆を進めるとともに、日本英文学会第91回全国大会特別シンポジアム「核の時代と文学研究」(於: 安田女子大学)において研究発表「_The Nuclear Age_における冷戦サバイバル」を行うことができたのが大きな進歩であった。このシンポジアムにお招きした写真家の石内都氏との意見交換によって、核とポスト・ディザスターという本研究課題における主要なテーマを学際的な視点から多角的に捉える重要性に気づき、それがこれまでに得られた知見をさらに深化させる契機となった。 ポスト9/11小説における戦後表象については関西大学の研究会「世界的内戦時代の英文学研究」に招聘され、ジェイ・マキナニーによる複数のポスト9/11ニューヨーク小説を考察した「ツインタワーから南北戦争へ―Jay McInerneyの_The Good Life_における分断のモチーフ」と題される口頭発表を行った。アメリカ文学のみならずイギリス文学やその他の領域の専門家との活発な意見交換を通じて、より広い視点をもったポスト・ディザスター表象について活字化された業績を出版するための素地を作ることができた。 また、ヴェトナム戦争とその文化的影響および冷戦期アメリカ文化を含むこれまでの調査結果を共著『よくわかるアメリカ文化史』(ミネルヴァ書房)における第16章「冷戦と核とカウンターカルチャー」のなかで発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定されていた学会口頭発表はすべて完了することができたが、提出すべき原稿のうち一部の執筆が遅れている。これは当該年度に学内異動を経験したことで新規の業務が増えたことと、また、体調を崩したことによる。しかし、2020年度に遅れを取り戻すべく計画的な調査研究をすでに開始している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の実績を発展させるために2020年度は国内学会における国際ワークショップにて冷戦期核文学についての英語による口頭発表を計画している。また、それをもとに論文を執筆して学会誌に投稿する予定である。 ポスト9/11小説の研究に関しては2020年秋にジェイ・マキナニーの小説を主題とした研究論文を完成させるとともに2021年には共著の刊行を目指している。 上記と並行する形でティム・オブライン論の執筆も進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の終わりに新型コロナウィルスの影響による研究会開催および国内出張の中止が続いたことと、専門分野の研究者を招いたワークショップ等の企画が困難になったこと、そして海外への資料調査のための研究出張を行うことができなかったことによる。使用計画としては学術イベントの開催を見送り、今後予定されるオンラインによる学会発表のための機材等の設備を整えることと、電子書籍を含めた学術的資料の収集を充実させたい。また、英語論文発表のための校正にかかる費用にも当てる計画である。
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