研究課題/領域番号 |
17K02599
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
田口 亜紀 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (90600502)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フランス / 旅 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、フランスにおいて、「観光」の概念の変遷を、メディアでの表象を通して分析することが目的のひとつとして挙げられる。研究題目の中に含まれる「観光」とは旅から派生したものであり、旅と分かちがたく結びついている。旅は異なった人種や民族、文化圏などの間にある反目や偏見を取り除き、人々が相互理解と融和に向かうために、異なる視点を獲得する契機となる。旅は日常を離れて行うものであるので、それを行う者に見慣れない文化との対峙を余儀なくさせる。価値観の揺らぎによって異文化理解が促されるともいえる。 映画で、旅の物語がフィクションの形式で、具体的な背景とともに十全に語られるとき、それを受容する側に考察の余地と、教訓を与えることができる。 研究業績1の論文では、この点を踏まえながら、映画の教育的活用方法についての事例を紹介し、教育機関や社会において発生しうるメディア教育における問題点にも言及した。 さらに複数言語が交錯する中で、言語が果たす役割について、台詞を引用しつつ指摘した。旅がきっかけとなって立場が逆転し、ヒエラルキーの再構築が起こる現場を分析する際に、旅することが直接、精神生活に作用を及ぼすことについて、どれだけ真実味をもって現前に迫って描けるかということが課題になるが、その条件を満たす作品は、優れた教材としても機能することが提示できた。道徳の押し付けとならずに、自らの課題発見となるしかけを施す作品の例からは、次世代に向けた芸術的作品制作の試みの意図を読み解くことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大により、国外への研究調査旅行を延期せざるをえなかったこと、及び国際学会で研究発表が予定されていたが、中止になったことが理由に挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染状況が改善し、研究環境が正常化すれば、国外への研究調査の実施や、研究発表の機会があるだろう。研究課題の最終年度であることから、研究の総括を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた国外における国際学会の研究発表が実施されず、また国外での研究調査旅行が取りやめになったことにより、出張のための経費として計上していた額の支出がなくなった。コロナ感染状況により、今年度に実施できるかもしれないが、現状に鑑みて、資料の取り寄せといった方法での情報収集や、研究成果発表といった方法も考える。
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