研究課題/領域番号 |
17K02604
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
江島 泰子 日本大学, 法学部, 特任教授 (80219261)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | フランス文学 / 19世紀 / キリスト教 / 脱宗教性 / 死刑廃止論 |
研究実績の概要 |
日本大学法学部図書館が所蔵するサン=シモン・コレクション中の「第二趣意書 序文」および「百科全書の計画 第二趣意書」の草稿(361)の翻刻を行い、それを法学部紀要『桜文論叢』第105巻に発表した。ライシテのテーマをめぐってサン=シモン主義の検討が課題の一部をなしているために企図したものである。2017年に本学部でライシテに関する講演を行ったトゥール大学教授(当時)ジュリエット・グランジュ氏から引き続きアドヴァイスをえ、さらに2018年後期に本学部でインターンシップを行っていたフランス人学生の協力をえて実施した作業の成果である。 2022年2月にクラシック・ガルニエ社から、2021年版『ルナン研究』第121号(Etudes Renaniennes 2021):タイトル(エルネスト・ルナン:記憶はどのように構築されるか? II 受容)に、 「ルナン作品の日本受容ー脱宗教化されたキリスト像と近代黎明期の危機的意識におけるその照射」が掲載された。これは、2018年11月17日にソルボンヌ大学で行った研究発表(同タイトル)に修正加筆を加えたものである。 コロナ禍と病気療養のため海外渡航に制限がかかり、フランスでの調査研究が計画通りに進まない状況が続いたため、科研費を出版費用に使用することに決定している。そのために新たな構想のもと、出版に向けて研究を継続した。 まだ原稿が完成していないが、その概要の検討を依頼し、出版を引き受けてくれる可能性のある出版社のめどがたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍と病気療養のため海外渡航に制限がかかり、フランスでの調査研究が計画通りに進まない状況が続いた。そのため、科研費を出版費用に使用することに決定した。もっか出版に向けて執筆を続けている状況である。 今回の研究の過程で、2つの国内共同シンポジウムとテーマの決まった国際学会での発表に参加した。それにより成果として、2冊の共著の出版にいたり、また今回の報告書にあるように国際学会での発表が論文として学会誌に掲載された。これらの成果は、ライシテや死刑廃止に関連するテーマが核となっているが、それぞれの研究に別テーマが導入される結果になった。そのため、統一のとれた一冊の書籍にまとめるためには、今までの研究成果はやや多岐にわたり、まとまりに欠ける面がある。そのため、当初のテーマを維持しながらも、全体としての連関を重視して、今までの成果内容の精査と取捨選択、新たな加筆が必要となっている。 これが(3)やや遅れているを選択した理由である。
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今後の研究の推進方策 |
科研費を使用して、一冊の書籍の出版をめざす。 すでに出版されている共著に発表した論文については、利用はできない。そのためそれらを参照するにとどめ、現在企図している著書と関連づける作業を行う。紀要や学会誌にすでに発表した論文については、現在企図している著書にどのように利用可能かを検討していく。現在企図している著書に統一感を与えるために、新たな研究と加筆を行う。 企図している著書とは別に、現在までに発表した研究成果を「研究成果報告書」としてまとめて、提出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍と病気療養のため海外での研究調査ができない期間が続き、当初計画を変更して、科研費残額を出版費用にあてることにした。まだ原稿が完成しておらず、出版費用の見積もりが確定していないため、その他の経費としての使用を控えたのが理由である。
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