研究成果の概要 |
二つのシンポジウムへ参加し, その成果である二冊の図書にそれぞれ論文を掲載した。それ以外に, 単著論文四本を二つの学会誌および所属機関の紀要に発表した。ルナン学会主催の二度の大会(於:パリ)で発表を行った。最初の発表は, ルナンの日本における受容と関わり,『ルナン研究』に掲載された。二つ目の発表(2023年11月)では, 宗教史家としてのルナンについて独自の考察を行った。今後に『ルナン研究』に掲載される予定である。研究の集大成として一冊の図書の上梓を企図したが, 体調悪化により年度末までに完成できなかった。科研費の補助を受けた研究の主要な成果のひとつであるため, 出版に向けて作業中である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
国際ルナン学会において, 宗教とライシテと関連する発表を二度行い, 論文として公表することで, 宗教思想家としてのルナンの特徴について独自の角度から見解を示せたことが一つ挙げられる。また研究当初から掲げていた死刑廃止に関するテーマにそって,ユゴー, 社会主義者ジョレス, フランスで死刑廃止が実現した当時の司法相バダンテール, それぞれの死刑に関する言説を考察した結果, フランスにおける死刑廃止論はライシテや反ユダヤ主義のテーマと深くかかわっていることを検証できた。フランス死刑廃止論の系譜における多様な接合点を提示することで, 死刑問題の考察に新たな視座を提供しえた。
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