研究課題/領域番号 |
17K02605
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
酒井 健 法政大学, 文学部, 教授 (70205706)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | バタイユ / フランス現代思想 / 芸術思想 / ゴッホ論 / プラトン論 |
研究実績の概要 |
2018年度はバタイユの芸術思想に対する研究を次の三つの方向で進捗させた。 ①バタイユの芸術思想をその後のフランス現代思想に接続させる。この点に関してはまず2017年度末に行ったクロソウスキーのシンポジウムでの発表を論文にまとめ、水声通信社の編集部に送り、論文集の企画の実現に向けて尽力した。他方で、バタイユのゴッホ論をトドロフとボンヌフォワのゴヤ論に接続させることを試み、論文にまとめた。すなわち「フィンセント・ファン・ゴッホと太陽の美学 ー フランス現代思想の視点から」(『言語と文化』第16号、2019年1月発行)がその成果論文である。 ②バタイユの芸術思想をその根源に遡って捉え直す。この点に関しては、19世紀20世紀にかけてのフランス哲学の状況、および1920年代にシェストフがフランスの哲学界に与えた影響を考察した。2018年6月には法政大学哲学科主催の公開シンポジウム「プラトンと現代」を企画・実施し、私は「プラトンとフランス現代思想 ー シェストフ、バタイユ、デリダ」と題する発表をおこない、それをもとにした同題の論文を『法政大学文学部紀要』第78号(2019年3月)に掲載するに至った。他方でまた年度末にはバタイユの中世美学への関心を深く理解するためにフランスとスペインの教会堂および博物館に赴いて実地調査、資料取得に努めた。 ③研究成果を書物化する。これまでの研究成果を一冊の書物にまとめて出版する企画を立て、青土社の編集会議での決定を経て、『バタイユと芸術ーアルテラシオンの思想』の表題で刊行する準備を進めた。この書物は2019年4月に刊行される予定である。 上記3点の方向で研究を進め、かなり充実した成果をおさめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
とりわけ研究成果を書物にまとめる点で、当初予期していた以上の成果をあげることができた。2019年度はじめにはこの試みは実現される予定である。その他、バタイユの思想をその後の20世紀の思想家クロソウスキーに繋げたり、21世紀のゴヤ論(トドロフとボンヌフォワの研究書)に接続できたのも、おおきな成果だった。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度においては18年度の研究の方向性を受けて、中世に立ち返ってバタイユの美学を根底から捉え直すことと、20世紀から21世紀の今日まで西欧の美学とつなげて論文を発表したり、翻訳本を出版することを進めたい。また専門性に閉じこもらず、トークショーなどを通して、一般の方々にも研究の成果をじかに伝えたい。
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