本研究はフランスの総合的思想家ジョルジュ・バタイユ(1897-1962)の芸術に関する思想を対象にし、新たな解釈の可能性を提言した。研究の方向としてはバタイユの世界への道とバタイユの外への道を設定した。 前者はバタイユのテクストに内在し、彼の芸術論の斬新さを、脱近代的な視点(主客の二元論への批判など)から開示していく道であり、具体的な成果として拙著『バタイユと芸術』(青土社、2019年)の上梓があげられる。後者は、前者での考察を広く西欧の芸術に差し向けて新たな解釈をめざす応用の道であり、成果としては中世キリスト教芸術の来歴を扱った『ロマネスクとは何か』(筑摩書房、2020年)があげられる。
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