研究課題/領域番号 |
17K02610
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研究機関 | 松山大学 |
研究代表者 |
進藤 久乃 松山大学, 経営学部, 准教授 (40613922)
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研究分担者 |
熊木 淳 尚美学園大学, 総合政策学部, 研究員 (90738618)
菊池 慶子 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 非常勤講師(非常勤) (00609886)
MARIANNE SIMON・O 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (70447457)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 前衛 / 第二次世界大戦と文学 |
研究実績の概要 |
本課題二年目となる2018年度は、前年度に引き続き、研究代表者・研究分担者・研究協力者が、各々の担当する課題を遂行し、論文の執筆と、シンポジウムや研究会における研究発表を行った。 また、フランスと日本におけるテクストとイメージ、視覚詩を専門とするマリアンヌ・シモン=及川が、当該年度から研究分担者として参加した。そのため、本課題の研究テーマの一つである第二次大戦後フランスの前衛詩についての研究が大きく進むことが可能となったのみならず、メンバーそれぞれの研究を有機的に接続し、課題全体を理論的に構築する見通しを得た。 第二次大戦後の前衛とシュルレアリスムとの関わりについての研究を担当している研究代表者の進藤は、第二次大戦直後のシュルレアリスムが置かれた状況について、国際シュルレアリスム学会第一回シンポジウム(SURREALISMS Inaugural Conference of the ISSS (The International Society for the Study of Surrealism))にて発表を行った。占領下に活動したシュルレアリスムグループである「ペンを持つ手」と、国外に亡命していたシュルレアリストらの間に生じた齟齬が、共産党への参加の是非といった状況的なものだけではなく、両者の時間意識の違いにも起因することを示した。なお、この国際学会は、「ペンを持つ手」の研究者や第二次大戦後の専門家との議論を深める貴重な機会となり、本課題を進めるために資するところが大きかった。 また、研究協力者の門間広明、久保田斉也が、本課題を考察するにあたり重要な作家であるジャン・ポーランについてそれぞれ研究論文を発表し、前山悠(研究協力者)も、ウリポと前衛との関わりについての論考をフランスの雑誌に発表した。以上のように、来年度以降の議論の土台となるものが整いつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究メンバーがそれぞれの課題を遂行し、論文や研究発表を通じて、その成果を定期的に発表し、本課題に関する。また、マリアンヌ・シモン=及川の分担者としての参加により、本課題の研究テーマの一つである視覚詩について、研究を進めることができた。 一方、第二次大戦後(とりわけ1960年代以降)のシュルレアリスムと前衛については、研究代表者と分担者、協力者がそれぞれの研究を基に共通の問題点を見出し、議論を深めることが必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、各メンバーが個人の課題について進めた研究成果を、前衛をめぐる理論的・文学史的な議論に接続する必要があると思われる。とりわけ、第二次大戦後(1940年代後半~60年代)の前衛についても研究を進める予定である。そのため、2019年度にはシンポジウムを行い、議論を深める機会を設ける予定である。 なお、これまで研究協力者として本課題に参加し、シチュアシオニスムについて研究を進めてきた門間広明が、2019年度より研究分担者として参加するため、第二次大戦後前衛の政治・社会的側面について研究が進展することが期待できる。
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次年度使用額が生じた理由 |
第二次大戦と前衛というテーマについては扱うべき問題点が多く、当初予定していたよりも時間が必要であり、そのため、第二次大戦後の前衛とシュルレアリスムに関する研究の遂行の一部を、次年度に回したため。
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