研究課題/領域番号 |
17K02611
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
松原 陽子 明治大学, 商学部, 専任教授 (10610371)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | フランス文学 / プルースト / 生成過程 / フロベール / 風景 |
研究実績の概要 |
研究課題「プルーストのテクストにおける引用」に関する研究成果を論文(査読付き)として学術誌に公表した。『失われた時を求めて』における登場人物、ステルマリア嬢、そしてステルマリア夫人の描写が小説の主題といかなる関連があるのか分析した。 草稿において、コデラン嬢、カンペルレ嬢、ペノエ嬢、シラリア嬢という名前で登場した人物は、最終稿においてステルマリア嬢、ステルマリア夫人となる。最終稿に至るまでに、この登場人物に関する描写がどのように変遷したか考察した。 ステルマリア嬢、そしてステルマリア夫人をめぐって、その生成過程を辿ることにより、草稿でその前身となる登場人物の描写が最終稿で登場する他の登場人物の描写に重なることを確認した。 しかし最終稿では、他の登場人物に見られる特徴は、ステルマリア嬢の描写から、削除されていることが多い。この変更は、この登場人物がフロベールのテキストで描かれるブルターニュの風景と色彩のイメージに結びつけられていることを示している。 具体的にはフロベールの『ブルターニュ紀行』における登場人物や風景の描写で見られる色彩が、ステルマリア嬢、ステルマリア夫人をめぐる色彩として用いられていることを明らかにした。この登場人物が動物の比喩によって描かれることがないのは、ブルターニュの風景のイメージ、そして、ブーローニュの森の湖を起点として、ブルターニュの海の水のイメージとに結びつけているためである。 これまでの研究と今後の研究について構想と研究内容の一部を報告し、専門家の研究者と意見交換をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた出張やシンポジウム等への参加ができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
生成過程を辿り、研究を深化するため、研究課題に関する資料収集を進める予定である。 また、研究を進めるため、他の研究者と意見交換ができる場を設ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた出張やシンポジウム等への参加ができなかったため。 研究課題に関する文献収集、草稿を含めた生成過程に関する資料収集を進め、他の研究者と意見交換ができる機会を設ける予定である。
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