研究課題/領域番号 |
17K02627
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
クラヴィッター アルネ 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90444778)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ドイツ文学 / 啓蒙主義 / 雑誌文化 / 書評制度 / 学術ジャーナル / 出版制度 / ディーツ / モヴィヨン |
研究実績の概要 |
第二年度は、ドイツ後期啓蒙主義における『最新ドイツ文学精選叢書』にかかわる原資料の収集に鋭意努めるとともに、『最新ドイツ文学精選叢書』に寄稿した作家たちの批判版作品集を刊行するための準備作業に集中的に取り組んだ。そのために長期休暇中にはベルリンとロストックの図書館や資料館に通い、貴重な一次資料、特に手紙や重要な出版関係資料を探した。 二年前にベルリンで開催された学会でフンボルト大学オリエント学科長からの提案を受けて、彼と共同でハインリヒ・フリードリヒ・ディーツの往復書簡集を編纂することとなった。2018年のうちに同書簡集の編纂作業は大幅にはかどり、2020年にドイツの定評ある学術出版社 de Gruyter より無事に刊行される運びとなっている。2018年9月にはライプチヒ大学で開催された学会「Wissen in Bewegung: Gelehrte Journale, Debatten und Buchhandel im Zeitalter der Aufklaerung〔運動する知 啓蒙時代の学術ジャーナル、論争と書籍業〕」でこれまでの研究成果を口頭発表し、一線級の専門家たちと有意義な議論を交わすことができたばかりではなく、フンボルト大学以外にもロストック大学、ライプチヒ大学などさまざまなドイツの研究機関と密な共同研究の基盤を構築することもできた。 さらに昨年は『ハインリヒ・フリードリヒ・ディーツ 哲学的論考、書評、未公刊書簡』(1773-1784)を編纂し出版することができたうえに、『ゲーテ年鑑』をはじめとする査読性学術誌への投稿三本が採用され、2019年度中に出版されることになったことが大きな成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りに一次資料の収集が順調に進んでいる上に、それらを元にしてハインリヒ・フリードリヒ・ディーツの往復書簡集のほか、一般に入手の難しい『最新ドイツ文学精選叢書』寄稿者たちの作品集刊行の準備がドイツの研究者との協働によって進み、出版社とも具体的な出版計画を立てることができた。 国際学会にも多数出席して、これまでの研究成果を世に問うとともに、ドイツで権威のある学術誌に複数の論文の採用が決まった。 以上の理由により、研究課題はおおむね順調に進展しているということができる。
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今後の研究の推進方策 |
第三年度には新たに資料収集作業が中心に置かれる。ベルリンの国会図書館、ヴォルフェンビュッテル図書館を訪問する予定である。この仕事は特にディーツの往復書簡集とヤーコプ・モヴィヨン往復書簡集の出版に役立てる。後者はオックスフォード大学のKevin Hilliard と共同で進めているプロジェクトだ。それに加えて単独著書『美的自由思想家たち』の完成をめざす。 さらにde Gruyter社の「Werkprofile」シリーズの編纂者Dieter Huening / Gideon Stieningとともに、2019年10月に雑誌のもうひとりの重要な寄稿者であるヤーコプ・モヴィヨンについての国際学会を計画している。外部資金を獲得できたこの学会はヴォルフェンビュッテルで開催される。 以下の論文が2019年に公刊されるされる。1.Exotische Naenien. Der vergaengliche Zauber ferner Laender in deutschsprachigen Dichtungen des 18. und fruehen 19. Jahrhunderts, in: Zeitschrift fuer interkulturelle Germanistik 10.1 (2019). 2."… aber andern will und muss er unbekannt bleiben.“ Ueber das Programm der Philosophischen Abhandlung von einigen Ursachen des Verfalls der Religion (1773) und ihren bislang unbekannten Verfasser, in: Das 18. Jahrhundert 43.1 (2019), S. 11-27.ほか。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度開催の国際学会への渡航費、宿泊費、参加費に当てるため。
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