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2020 年度 実績報告書

アレクサンドリアのフィロンの倫理思想:聖書学的・思想史的考察

研究課題

研究課題/領域番号 17K02628
研究機関フェリス女学院大学

研究代表者

原口 尚彰  フェリス女学院大学, 国際交流学部, 教授 (60289048)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードフィロン / 哲学 / 旧約聖書 / ユダヤ教 / 真理
研究実績の概要

本年度はアレクサンドリアのフィロンの倫理思想の根底にある真理理解の問題に取り組んだ。それはユダヤ人哲学者であるフィロンの倫理思想において、倫理的行動の源泉は正しい真理理解にあると考えられていたからである。
「真理(アレーテイア)」はギリシア・ローマ世界の哲学的探求における中心的主題であり、プラトンやアリストテレス以来議論が重ねられてきた。フィロンはユダヤ教徒として旧約・ユダヤ教の真実理解を継承すると共に、ギリシア哲学の真理論も本格的に学んでいた。本研究はフィロンの真理理解をフィロンの著作に即して釈義的に分析し、旧約・ユダヤ教的真実論とギリシア的・哲学的真理論とがどのように結合しているのかを検討した。
フィロンの真理論については先行研究が存在しないので、一次資料であるフィロンの諸著作に基づいた独自の考察を行うこととなった。具体的には、フィロンの著作における真理に言及する箇所をPhilo Indexを用いてリストアップして、個々の使用例をそれぞれの文脈に即して釈義的に検討し、その結果を主題的に整理し直した上で、フィロンの真理論の全体的構造を明らかにする作業を積み重ねた 。
こうした文献学的・釈義的考察の結果、フィロンの真理論は旧約・ユダヤ教の真実理解をギリシア哲学の真理理解によって深化させたものであることが明確になった。フィロンの神学的・哲学的思考はユダヤ教的な唯一神論から出発しているが、神の意思の啓示である律法を学ぶことを真理探究の哲学的な営みとして提示している。このことを通してフィロンはユダヤ教が非理性的な迷信ではなく、ギリシア・ローマ世界の知識人が受け入れることが出来るような理性的宗教であることを示そうとしたのである。
上記の研究成果は、フェリス女学院大学国際交流学部の研究紀要である『国際交流研究』第23号に掲載された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] アレクサンドリアのフィロンにおける真理2021

    • 著者名/発表者名
      原口 尚彰
    • 雑誌名

      国際交流研究

      巻: 23 ページ: 53-69

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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