本年度は前年度に引き続いて、17世紀イエズス会のローマ学院および神学校において上演された戯曲およびダンスにおけるエンブレム芸術の影響に関する研究を行った。具体的にはレオーネ・サンティの詩作活動を研究対象とした。彼の戯曲や間奏曲において、天体の回転運動を表象するダンスが、宇宙を秩序立てている摂理を解読するためのエンブレムに見立てられていたことを具体例の分析を通して示した。加えて、このようなプラトン以降の伝統であった比喩的な世界観が、当時のガリレオらによる天体観測に基づく発見によって揺るぎつつあり、レオーネ・サンティのダンス観にもその影響が見て取れることを論じた。
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