本研究は、16~17世紀のフランスおよびイタリアのイエズス会演劇とエンブレム芸術の関係の解明を目的とする。演劇とエンブレムはいずれもイエズス会中等教育課程に取り入れられていたため、教師が手掛けた戯曲において、エンブレム・ブックから援用が行われることがあった。エンブレムは教育的観点から望ましい宗教的、道徳的格言を作り出し、さらに、エンブレムが前提とする、事物を比喩的に関連づけて解釈する態度は戯曲の多様な解釈を可能としている。フランスのラ・フレーシュ学院およびイタリアのローマ学院で創作、上演されたいくつかの演劇作品を手掛かりとして、以上のありさまを具体的に示した。
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