本研究は先の研究課題「1860年代のドストエフスキーにおける文学と建築のトポロジー」(課題番号23520409)を継承するものである。引き続き全体構想(文学都市サンクト・ペテルブルクを触媒にしたロシア近代文学の生成過程の解明)を念頭に置き、本研究は特に1840年代のドストエフスキーの作品(『貧しき人々』、『家主の妻』、『かよわい心』、『白夜』)を取りあげ、40年代のドストエフスキー文学の固有の特徴である夢想家とコロムナ地区の関連を検討した。その結果、新たに『貧しき人々』の主人公が夢想家の原型であることが証明され、『白夜』の夢想家が他の夢想家とは一線を画していることが明らかにされた。
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