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2021 年度 研究成果報告書

ドイツ汎愛派の教育改革-「知」の社会的機能と「人間の使命」

研究課題

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研究課題/領域番号 17K02633
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
研究分野 ヨーロッパ文学
研究機関福岡大学 (2018-2021)
長崎外国語大学 (2017)

研究代表者

田口 武史  福岡大学, 人文学部, 教授 (70548833)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2022-03-31
キーワード汎愛派 / 教育思想 / 啓蒙 / 体育 / 身体論 / 市民社会 / コスモポリタニズム / パトリオティズム
研究成果の概要

ドイツ汎愛派による教育改革が持つ意味を、18-19世紀転換期の思想と社会をふまえて検討した。汎愛派は、自然な発育と実務的市民の育成という、矛盾を孕む二つの教育方針を提唱した。すなわち彼らは、個人の自律性と公共心の両立を目指したのであるが、その根底には、人間は社会的に有用な知性と身体を「自然」に獲得できるはずだという想定が指摘される。
功利主義と目的論に基づくこの人間観は、グーツムーツが汎愛学校で開発した体育教育に、最も明確に表れている。彼の体育は、古代ギリシアの全人教育を復活させたものであるとともに、国家社会の規範に即した心身の自己統御を、近代市民の倫理的使命として定位する働きをした。

自由記述の分野

ドイツ文化学

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究はドイツ汎愛派の教育思想を、近代市民が求めた新しい人間像・社会観の発現として解釈した。汎愛派は、家庭教育を前提とするロックやルソーの教育理念を、初めて学校教育として実践したのであるが、とりわけグーツムーツによる体育の教科化は、思想史の観点で重大な意味を持つ。身体活動をカリキュラムに組み込むことで、知性による心身の自己統御を促すとともに、それを公教育が指導すべき社会的行為としたからである。
汎愛派は学習の内容と成果を、有用性を指標として評価した。近代市民の価値観を如実に反映した教育方針であるが、有用性の判断が政治状況に大きく左右された歴史に鑑みると、その妥当性を慎重に見極める必要がある。

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公開日: 2023-01-30  

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