研究課題/領域番号 |
17K02641
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
今泉 秀人 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (00263343)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中華民国 / 国語教科書 / 作家 / 文学創作 / 交友関係 / 教育制度 / 文学制度 |
研究実績の概要 |
日本・中国における調査に関しては、日本・中国・台湾において比較的多くの関連書籍を購入でき、また2017年9月1日から4日まで中華人民共和国青島市で文献収集および現地における事跡調査を行うことができた。 特に、1930年代に国立青島大学のあった現在の青島海洋大学、沈従文故居等を訪れ、当時の状況の片鱗を知ることができた。 また、2017年9月12日から16日まで台湾に滞在し、国立編訳館関係の資料、及び、本研究の主要研究対象である『小学校高級用実験国語教科書』の、これまでその存在が知られていなかった第3巻の所在を知ることができた。 また、2018年3月3日から7日まで中華人民共和国重慶市において、文献収集及び、国民政府(特に教育部)が重慶北碚にあった頃の史跡、また貴重な資料の展示を行っている中国民主党派中国民主党派歴史陳列館で、資料の収集および調査ができたことは、本研究に新しい視野をもたらすことに繋がる貴重な経験であった。 青島では「青島文芸研究会」(代表:齊藤大紀)の諸氏と、また重慶では「重慶研究会」(代表:中野知洋)の諸氏とそれぞれ交流の機会を持つことができた。それによって、1930年代の青島における作家(その多くは国立青島大学の教員であった)相互のネットワークについて、また1940年代のいわゆる抗戦期に重慶に逃れてきた知識人(特に作家)たちの生活のディテールを、その経済的な立ち位置と関連付けて知ることができ、本研究にとってもっとも重要な知識や経験を蓄えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は、最初の年に青島、次の年に重慶その他へ赴く、という計画であったが、協力関係に基づいて調査をともにしている「青島文芸研究会」(代表:齊藤大紀)および「重慶研究会」(代表:中野知洋)の現地調査に合わせて、最初の年に青島、重慶と二つの場所に出張して、調査と研究交流をすることになったため、予算を一部初年度に前倒しして研究を行うことができた。よって、当初の計画よりも若干進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度(第二年度)は、中華人民共和国の湘西地方における調査を中心として、その他に台湾で国立編訳館資料を所蔵する台湾国家教育研究院図書館(台北市)を訪れ資料の収集および実地調査、そして研究交流をする予定である。 特に10月12・13日に中華人民共和国湖南省吉首市で行われる予定の国際学会、「国際沈従文学術研究論壇」において、本研究の中心となる教科書編纂事業と作家との関係に関してこれまで行ってきた調査・分析・考察について報告を行う予定である。
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