研究課題
2019年度末に急速に拡大した新型コロナ感染症による渡航制限の影響により2020年1月に計画していた武漢への研究調査が中止となった。再起を期して期間を1年延長して臨んだ2020年度であったが、残念ながら渡航が解禁される見込みが立つには至らなかった。そのため、各自の個別研究を中心とせざるを得なかった。Zoomによるオンライン研究例会は2回開催した。1回目は8月31日午後2時から、2回目は年度末の3月29日午後1時から、青島科研との合同で、最近の研究課題を紹介し、質疑応答と情報交換を行った。2回目の例会では、来年度の活動方針を決定し、今後の研究計画を紹介した。いずれも来年度以降の研究再会を期した取り組みと言える。研究成果としては、科研メンバー全員が参加する中国モダニズム研究会編『夜の華――中国モダニズム研究論集』(中国文庫、2021年3月)から活動状況を見ることができる。齊藤大紀は、夭逝した作家・胡也頻の自慰行為を描いた作品を題材に、自慰行為が映し出す五四時期の自由と恋愛、結婚観という近代の人間模様を検討した。杉村安幾子は、1940年代、徐Xuと並んでラブストーリーを得意とする流行作家であった無名氏の「メロドラマ」の作法を論じた。高橋俊は、いわゆる「人文系不要」論争を中国現代文学研究に敷衍した研究を行った。中野徹は、1932年にわずか2年間という短い歴史を閉じた国立青島大学に起きた、学生運動をトレースした。中村みどりは、劇作家の洪深の青島との関わりを丹念に跡付けた。また中野知洋は、民族主義文壇の中心的な作家であり、文芸政策の責任者張道藩の側近の一人でもあった王平陵が、日中戦争中の重慶で発表した「女優之死」という中篇小説を分析した。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 図書 (1件)
夜の華――中国モダニズム研究論集
巻: なし ページ: 52-83
巻: なし ページ: 232-255
文学の力、語りの挑戦――中国近現代文学論集
巻: なし ページ: 87-110
巻: なし ページ: 404-428
巻: なし ページ: 110-147
巻: なし ページ: 148-173
巻: なし ページ: 256-285
お茶の水女子大学中国文学会報
巻: 第40号 ページ: 27-43