| 研究課題/領域番号 |
17K02645
|
|---|
| 研究機関 | 鹿児島大学 |
|---|
研究代表者 |
高津 孝 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (70206770)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
| キーワード | 科挙 / 宋代文学 / 元代文学 / 物語文学 / 心理的影響 |
|---|
| 研究実績の概要 |
科挙は、家柄に由らず、広く人々に出世の機会を保証する官吏登用制度であったが、極めて大きな心理的負担を受験者及びその家族に要求した。本研究は、エルマンによって端緒をつけられた明清期における科挙制度の社会に対する心理的影響についての研究を、宋元代に拡大し、『夷堅志』など大量に残された宋代伝奇、宋代の物語文学に描写された科挙社会の状況を検討することで、その様相を明らかにし、さらに、それを明清時代と連結し、科挙制度が制度的に完備した宋代以降の中国社会全体を視野に、科挙制度の社会に対する心理的影響、及び文学は如何に人々の心理的苦悩に対応したかを明らかにするものである。
平成30 年度においては、（1）中国で刊行された基本的な科挙関連資料の収集を行い、研究基盤の整備を行い、（2）科挙関連資料の調査を行い、情報収集に努め、（3）科挙研究著作（日・中・欧米）、宋代ポピュラー・カルチャー研究著作の収集を行い、研究史整理に努め、科挙制度と漢語史との関係を論じた平田昌司著『文化制度和漢語史』（北京大学出版社、2016年月）について、詳細な内容解説と分析を行った書評「書評：平田昌司著『文化制度和漢語史』」（京都大学中国文学会，中國文學報，90巻 （頁 128 ～ 154）、2018年04月）を公表した。また、（4）南宋・洪邁『夷堅志』、金・元好問『続夷堅志』についての研究成果について華南師範大学で講演（華南師範大学文学院珠江人文講壇（第50講）「故事在科挙社会的作用与意義」2019年03月）し、その内容について、意見交換（学術座談:華南師範大学文学院「中国古典文学研究の思路与方法」2019年03月）を行った。このほか、（5）宋代文献研究会を組織し、定期的に研究会を開催し、金代の物語集『続夷堅志』の分析を行い、その成果の一部を「『続夷堅志』訳稿（二）」（『人文学科論集』86（頁 127 ～ 153）、2019.3、鹿児島大学法文学部紀要）として発表した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおりに研究を進め、中国で講演、座談会を行い、研究成果も2点公表した。
華南師範大学文学院珠江人文講壇（第50講）「故事在科挙社会的作用与意義」2019年03月
学術座談:華南師範大学文学院「中国古典文学研究的思路与方法」2019年03月
「書評：平田昌司著『文化制度和漢語史』」（京都大学中国文学会，中國文學報，90巻 （頁 128 ～ 154） ，2018年04月）
「『続夷堅志』訳稿（二）」（『人文学科論集』86、2019.3、鹿児島大学法文学部紀要）
|
| 今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に従って推進する予定である。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
予定していた中国出張がキャンセルとなったため、2019年への度繰越し金が生じた。繰越し金は、旅費として使用（宋代文献研究会（福岡市、6月）参加、発表）の予定。
|
