研究課題/領域番号 |
17K02647
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
津守 陽 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20609838)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ジェンダー / 身体表象 / 性暴力 / 民国期中国 / 沈従文 |
研究実績の概要 |
2020年度は以下の面において研究を行った。 (1)連携研究者である鳥谷まゆみ氏の主催で、北九州市立大学にてオンライン国際学術ワークショップ「言文・ 身体・性:20世紀東アジア文学における越境と葛藤」を開催し、連携研究者同士での研究進捗確認を行ったほか、海外からの研究者を招聘して学術交流を行った。 (2)国内外の学会における口頭発表と論文発表:2020年度は1回の口頭発表を行った。上述の北九州市立大学におけるオンライン国際学術ワークショップにて、「強がる言葉と傷つく身体ー沈従文の性暴力形象を読む」と題し、沈従文の奇妙な短篇小説「街へ出てきた人」に関する考察を糸口として、1930年代中国における性暴力の表象を取り巻いていた磁場を考察し、「非知識層女性の主体性を描くこと」と「下層妓女の表象」という二つの問題について考察した。同じセッションであった連携研究者呉世宗氏やコメンテーターとの議論を通して、身体や性暴力の表象をめぐって、近現代東アジアの文学についてより緻密な議論を深めていく必要があることを改めて認識できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度は代表者の書籍執筆の遅延の影響により、延長申請を一度行ってはいたが、2020年度はコロナウイルス感染拡大の影響で、主に勤務先での授業準備や学生対応の業務量が増大したため、子育てと大学の業務で手一杯となり、全く研究が進められる状況ではなかった。同時に国内外の出張予定も全てキャンセルとなったことで、学会発表や資料調査の機会も得られなかった。ただし、当初目標としていた神戸市外国語大学『外国学研究』における論集の発行は2019年度末で遂行できたので、上記は研究グループの構築上というよりは、主に研究代表者個人の当該研究項目における目標達成の面に関する遅れである。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウイルスの感染状況が今後どのようになるのか不明であるため、これ以上の資料収集は望めそうにないのが現状である。また2019年度以降作業が難航している書籍執筆についても、現在の大学の授業準備および各種業務との並行を考えると、同様にあまり楽観できる状況ではない。当初掲げた目標は短期間では達成の難しい大きな視野であったことが今回の研究を通してより明らかになってきたので、「小説の詩化」に関する研究を一旦休止し、「描写文体とジェンダーおよびナショナリズム」の観点に特化して研究を進めたい。また可能な範囲で、再度オンラインでのワークショップ開催を模索したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本来シンポジウムの実地開催を考えていたため、そのための経費を残していたが、オンライン開催となり宿泊費などが発生しなかった。また国内外の出張も禁止となったため、旅費も使用しなかった。
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