研究課題/領域番号 |
17K02648
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
松村 茂樹 大妻女子大学, 文学部, 教授 (70229532)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 呉昌碩 / 長尾雨山 / 岡倉天心 / ボストン美術館 / 日中米文化交流 |
研究実績の概要 |
ボストン美術館東洋美術展示室には、「中国最後の文人」と称される呉昌碩(1844-1927)の手になる「与古為徒」扁額が掛けられている。これは、当時上海在住の漢学者・長尾雨山(1864-1942)が、隣人の呉昌碩に揮毫を嘱し、ボストン美術館中国・日本美術部長であった岡倉天心(1863-1913)に贈ったものである。本研究は、この呉昌碩、長尾雨山、岡倉天心による近代日・中・米文化交流の重要なる意義を明らかにすることを目的としている。平成29年度は、ボストン美術館において収集した岡倉天心の中国美術収蔵活動に関する資料の整理と分析を行う予定であったが、岡倉に当時最新の金石学に基づく中国文墨趣味を伝えた雨山、雨山にそれを伝えた呉昌碩についてまず明らかにする必要があったため、雨山と呉昌碩についての研究を優先して行い、以下の論文を発表した。 近代のボストン美術館に見る日中米文化交流について―岡倉天心、長尾雨山そして呉昌碩の貢献―2017・9・11 人間生活文化研究NO.27。長尾雨山与呉昌碩交誼的原点―漢長生未央磚及其題詩〔中文〕2017・10 第五届“孤山証印”西レイ印社国際印学峰会論文集(西レイ印社出版社)。呉昌碩の生誕地と「蕪園」をめぐって2018・3・20 大妻女子大学紀要-文系- 50号。長尾雨山の旧宅址を訪ねて―京都室町通と西洞院通での実地踏査報告― 2018・3・22 コミュニケーション文化論集15号。呉昌碩「詩文手稿冊」に見える日本人士の氏名について2018・3・31 中国近現代文化研究19号。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、岡倉天心に関する研究がやや遅れているものの、呉昌碩、長尾雨山に関しては当初の計画以上に進展しており、おおむね順調に進展していると言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
岡倉天心は優れた美術施策推進者で、しかも漢学への造詣も深かったが、やはり専門の漢学者ではなく、当時最新の金石学に基づく中国文墨趣味を呉昌碩と深く交わることで身に付けていた長尾雨山の存在を極めて重視していた。よって、やはり呉昌碩と雨山の研究を優先して進めた上で、岡倉への影響を論じたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりも進展があったため、平成30年度に購入予定であった「ボストン美術館・岡倉天心・長尾雨山・呉昌碩およびその周辺関連図書・資料」の一部を平成29年度中に導入する必要がでてきた。このことにより、直接経費400,000円を、前倒し支払請求したため。
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