研究課題/領域番号 |
17K02661
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研究機関 | 東京成徳大学 |
研究代表者 |
小橋 玲治 東京成徳大学, 人文学部, 助教 (60756435)
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研究分担者 |
橋本 順光 大阪大学, 文学研究科, 教授 (80334613)
堀内 真由美 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (60449832)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | E. P. Hughes / 監獄改良運動 / アニー・ベサント / グルチャラン・シング / 『ファンタジア』 / 神智学 / ブラック・フェミニズム / 旧英領カリブ |
研究実績の概要 |
研究代表者・小橋は、1本の論文を執筆した。E.P.Hughesが来日中に行った個々の講演についてはこれまで詳細には分析されてこなかったが、彼女の登山に関する講演が影響を与えた可能性について論じた前年度の論考に引き続き、「監獄改良」など、彼女の本来の専門である教育とは異なった見地から行われた講演などを明らかにした。 研究分担者の橋本は2件の研究発表を行い、2件の論文を発表した。ディズニー映画『ファンタジア』(1940)が、アニー・ベサントのThought Forms(1901)の副産物であるだけでなく、彼女が日本に派遣したジェムズ・カズンズと関連があることを指摘し、東京で彼が形成したトランスナショナルなネットワークを解明した。柳宗悦らの友人インドの陶芸家シングことグルチャラン・シンや、パウンドの友人だった画家の久米民十郎はその一例で、両者ともに神智学を創作活動に転用している。シンは、ソウルで目にした青花辰砂蓮花文壺から蓮を汎アジア的な模様として使用し、久米は自身の霊媒画の説明でブラヴァツキー夫人のいう「第三の眼(松果体)」を援用した。久米の記す「大脳の穹窿体(fornix)」がそれで、これは第七官(界)と通底していることも指摘した。 同じく研究分担者である堀内は、コロナ禍で予定していた(ロンドンおよび旧英領カリブ海地域への)海外現地資料調査、また国内における移動を伴う研究活動の一時停止を余儀なくされた。そのなかで、西インド大学ジャマイカ・モナ校からインターネットを通したやりとりによって、英国における1960年代公教育における「イギリス白人女教師とジャマイカ移民女生徒交流の現代史」の一断面を知ることができた。このほか、コロナ禍が再燃させた「人種差別」に関して、1970年代英国における「ブラック・フェミニズム」の知られざる運動史の一部を論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍によって研究目的をはじめとした全ての移動に制限が加わり、特に堀内は予定していた海外調査も不可能になった。全員が遠隔にいるため、三者の研究進捗状況の把握や情報共有程度となってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
8月上旬には三人を中心とした報告会を、オンラインでのライブ配信を含んだWeb上での開催を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍によって小橋や堀内の研究旅費等が使用できなくなり、次年度使用額が生じた。8月にオンライン研究会を開くまでの追加の研究費として利用する。
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