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2017 年度 実施状況報告書

スペイン語圏における俳句受容プロセスの深化と歳時記編纂についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K02667
研究機関京都産業大学

研究代表者

井尻 香代子  京都産業大学, 文化学部, 教授 (70232353)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードスペイン語圏文学 / 日本伝統詩学 / 俳句セミナー / アルバセテ・ハイク協会
研究実績の概要

アジア会館バルセロナ本部調査:図書館蔵書中の万葉集、古今集のスペイン語訳本はじめ、古代から現代にいたる日本伝統詩のアンソロジー、個人の歌集、句集のスペイン語訳、和歌論、俳論、日本伝統詩論全般などに関するスペイン語研究書にアクセスすることができ、日本の伝統詩学の受容についての情報を収集した。また、当会館で実施されてきた俳句関連のセミナーや講演についても有用な情報が得られた。
アルバセテ・ハイク協会:2017年9月7日カスティーリャ・ラ・マンチャ大学アルバセテ校で開催されたアルバセテ・ハイク協会研究会において、招待講演を行い、その後現地研究者と意見交換を行った。講演は、「日本の季語と歳時記の発展」について実施し、講演内容についてヨーロッパ詩学との比較を中心に、活発な質疑応答が交わされた。また、アルゼンチンなどスペイン語圏の他の地域における日本の伝統詩受容やハイク、タンカ、センリュウの実作について、スペインの現状との比較や影響関係が話題に上った。さらに、カスティーリャ、セビーリャ、バルセロナなどスペインの各地方における日本の詩歌受容史とその発展、スペイン国内での学会開催や実作コンクールの実績等について詳しい情報が得られた。このカスティーリャ・ラ・マンチャ大学での会合に関して、現地メデイア『アルバセテ・トリビューン』について事前に取材を受け、開催当日版の紙上文化欄に関連記事が掲載された(2018/9/7、『アルバセテ・トリビューン』16頁)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年8月から9月にかけてのスペイン出張では、アルバセテ・ハイク協会同人との意見交換を通じて、これまで入手できなかった既刊雑誌やスペイン語ハイク詩集の寄贈を受けた。その多くはスペインの地方出版社で印刷され、商業ベースには乗らないが、スペインのみならず、アルゼンチンやコロンビアなど他のスペイン語圏も含めた地域の著名な研究者や詩人たちによって執筆されており、スペイン語圏における最新の俳句受容を反映したものである。
現在、雑誌記事、ハイク詩集の序文や解説文、研究書を読み込み、情報をまとめている段階であるが、とりわけ、次のようなテーマに特色がある。
1)地域の季語 2)歌論 3)俳論(芭蕉と弟子) 4)俳論(子規、虚子)
5)ヨーロッパにおける日本伝統文学受容とそのスペインへの影響
このように、断片的ではあるが、現在進行中の和歌・俳句研究を示す資料の中から、歌論・俳論受容の深化を探っており、近いうちにスペインでの現地調査の結果をまとめる予定である。

今後の研究の推進方策

平成30年度には、アルゼンチンでの現地調査を実施する。1994年から年刊で出版され,日本文学を紹介する雑誌『床の間』,スペイン語圏で初の翻訳が出版された『枕草子』(2005),17世紀以降の俳人105人の780句を翻訳・注釈した『俳句の本』(2006),等を手がかりに,日本の詩論や芸術論の受容状況を調べ,スペイン語短歌,俳句などの制作にどのように反映されているかを探る。そのため,下記の海外共同研究者の協力を得て,聞き取り調査を行う予定である。
「ブエノスアイレス国立大学」では,上記雑誌の編集者であり,日本文学の翻訳者でもあるサトウ氏にインタビューを実施し,近年のスペイン語ハイクの普及および歳時記編纂に向けた動きに関する情報を収集する。また,『日本の俳句』を出版したシルバ氏には,日本の俳句における季題・季語の理解や俳論の受容,スペイン語ハイクにおける季語の扱いについて聞き取りを行う。
「ラ・プラタ国立大学」のアミコラ氏には,アルゼンチン作家・詩人の作品に反映された日本文学の伝統詩学についてインタビューし,アルゼンチン文学における芸術観,自然観に与えた影響について情報を収集する。
「トゥクマン国立大学」では,スペイン語ハイクに表現されたアルゼンチンの地理的特色についてパラシオス氏に聞き取り調査を実施し,さらに気候,地形,動植物相の展開について歳時記項目と関連する情報の教示を依頼する。
「東西国際財団」では2014年度に国内4大学で開催した「京都府連句協会『連句』アルゼンチン・レクチャー・ワークショップ」において,「連句式目」や「座の文学」がどのように受容され,「スペイン語歳時記」編纂につながっているのか,詳しい情報を収集する。

次年度使用額が生じた理由

物品費に関して、今年度現地調査では、現地作家および研究者より多くの書籍・資料の寄贈を受けたため、繰り越し分を次年度にあてる予定である。旅費については、次年度に向けて今年度は航空運賃が抑えられたが、次年度は燃油サーチャージ等の上昇が見込まれるため準備したい。人件費・謝金は次年度に予定されている研究補助者雇用に充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 日本の季語と歳時記の発展2017

    • 著者名/発表者名
      井尻香代子
    • 学会等名
      アルバセテ・ハイク協会研究部会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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