本研究の目的は、印欧諸語の代名詞の曲用パラダイムの変異及びロマンス諸語の複他動詞文の非主語項を指示する接語代名詞群のパラダイムの変異を少数の制約 のランキングから導くことである。 本年度は,前年度に提案した制約群に基づいた代名詞のパラダイムの変異の記述をロマンス諸語の複他動詞構文内の接語代名詞群の形態音韻形式(パラダイム)の記述に適用することであったが、予定していた中南米のスペイン語話者からのデータが確保できず、人称/性/数/格の有標性制約と忠実性制約、及び有標性制約の下位階層(マクロロール階層と人称階層/性階層の調和的制約配列、意味役割階層と人称階層の調和的制約配列)から生じる有標性制約群とその局所結合を提案するに留まった。
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