研究実績の概要 |
研究代表者の秋廣尚恵は、フランス語の接続表現である apres、と du coup について話し言葉コーパスに基づいて、研究を進めた。いずれも時の表現でありつつも、インタラクティブなコンテクストに応じて、その語用論的な用法を拡大していることが分かった。5月には、研究協力者である Jeanne-Marie DEBAISIEX 教授(パリ第3大学)から招聘し、講演会を東京と京都で開催した。また、講演の合間を縫って、分担者、川口裕司らと共に、同教授とフランス語の接続表現の研究について、意見を交換した。さらに、秋廣は、接続表現 du coup の研究を開始し、10月には、日本語音声コミュニケーション学会と日本語プロフィシェンシー学会の合同大会にて、その成果の一部を口頭発表し、論文を書いた。11月には、apres のミクロ通辞論的研究を「第10回国際コーパス学会」において、オルレアン大学のMarie Skorovec 准教授、Layal Kanaan-Caillol 准教授らと共に口頭発表した。さらに、名古屋大学名誉教授の藤村逸子氏らと共に雑誌 Langages の特集号「構文化:日仏対照研究 Constructionnalisasion : etude comparative franco-japonaise」の執筆に加わり、apres と「あと」の対照研究の論文を3月に執筆。この特集号は現在査読中である。 研究分担者の川口裕司は、東京大学大学院博士課程在学生の中川亮氏とともに、1263年から1412年の間に書かれた2つのアングロ・ノルマン語の書簡集を電子化されたデータについて、理由節を導く接続詞 que, por ce que, car, par ce que, puis que について、コーパスに基づき分析した。この成果は論文としてフランスから出版される予定である。
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