研究課題/領域番号 |
17K02678
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
姜 英淑 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (80610162)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 密陽方言 / 派生語 / 接尾辞 |
研究実績の概要 |
本年度は,予定していた実地調査を行うことができなかったため,従来集めていた資料の整理及び分析を行うことで研究を進めた。 密陽方言における接尾辞による派生語のアクセント特徴に関する研究はまだなく,本研究により初めてその特徴を明らかにすることができた。本研究ではすでに,釜山方言と晋州方言の接尾辞によるアクセント特徴が,語基のアクセントと接尾辞の種類によってアクセントが決まることを解明した。密陽方言も,両方言と同様に,語基が用言であるか用言以外なのかでそのアクセント特徴が大きく分かれる。まず,語基が用言の場合は,さらに語基の音節数やアクセント,接尾辞の種類(母音始まりなのかそれ以外なのか)によってアクセントが決まる。これに対して,語基が用言以外の場合は,複合名詞のアクセント規則が働き,全体のアクセントが決まる。 このような特徴は,最初に指摘したのは趙賢淑(1985)である。慶尚北道の奉化方言(Bonghwa)を対象に,語例は少ないものの,接尾辞によるアクセントは,語基のアクセントや母音始まりの接尾辞が関与していることを明らかにした。釜山方言や晋州方言及び密陽方言は慶尚南道方言であるが,接尾辞のアクセント特徴は慶尚北道の奉化方言と同じ条件によって決まる。これは,慶尚南道方言と慶尚北道方言はそれぞれアクセント体系は異なるものの,接尾辞による派生語のアクセント特徴は同じ規則で決まるという一般化ができると考える。 引き続き,混成語やアルファベット関連語彙もアクセント体系の違いには関係なく,同じ規則で決まるという規則の一般化について解明を続けて行く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度の研究は,突発性難聴による聞き取り調査が不可能だったため,研究材料を集めることができなかった。そのため予定より研究が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は,遅れている地域の調査を進め,派生語や複合動詞のアクセント特徴を明らかにしていく予定である。また,外来語のアクセント規則を解明し,アルファベット関連語彙のアクセントとの関連性を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,本研究を進める上でメイン活動となる実地調査ができなかったためである。補助事業期間の延長を承認されたので,引き続き,助成金資料の研究調査を行っていく予定である。
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