研究課題/領域番号 |
17K02678
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
姜 英淑 島根県立大学, 国際関係学部, 准教授 (80610162)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 密陽方言 / 外来語のアクセント |
研究実績の概要 |
本年度の研究も昨年度と同様に世界的な感染症の影響のため韓国での実地調査ができなかった。そのため、従来の調査により得られた資料の整理・分析に基づき、研究発表を行った。 また、密陽方言の外来語のアクセント資料は十分ではないが、資料を分析した結果、密陽方言の外来語のアクセント特徴は他の慶尚南道諸方言のアクセント特徴と類似していると考えられる。1音節外来語は、一部の例外を除くと、すべて下降の例が下降調(falling)で発音され、助詞が付くとH-Lが現れる。一部の例外は他の方言と同様な音調型で発音されており、これらの例は固有語化していると判断できる。2音節の外来語は、音節構造とアクセントが関連していることがうかがえる。つまり、a)語頭音節が重音節であれば、HHで現れ、b)語末音節が重音節であればLHで現れる傾向がある。c)その他は(軽音節の連続)はHLで現れているが、語末子音が/r/例は重音節にも関わらずHLで現れる。また、幾つかの例はこのa~cのルールに従っていないが、この点は追加調査を行い、例を増やして分析・解明する必要がある。3音節以上の外来語はかなり例が少ないが、やはり音節構造とアクセントが深く関連していると考えられる。a)語頭音節が重音節であればHHL、b)語末音節が重音節であればLLHが現れる傾向がある。c)その他はLHLで発音される。a~cの音調型以外にHLLも現れるが、すべての例の第2音節は挿入母音であるという特徴がある。 以上の特徴は、慶尚道諸方言の外来語のアクセント特徴と類似しており、アクセント体系は異なっていても外来語のアクセントは同じ規則が働いている可能性が高い。ちなみに、密陽方言のアクセント体系には、他の慶尚道諸方言に比べてn音節語に最も多くのアクセント型の対立がある(1音節語と2音節語を除く)。 引き続き、追加の調査による資料の補充や分析が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度も昨年度と同様に、世界的な感染症の影響により韓国での実地調査ができなかった。そのため、本課題の研究進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、感染症が収まり対面の調査ができることを期待しており、下半期に実地調査を行い、追加の資料収集を行う予定である。引き続き、密陽方言の語形成規則にを中心に研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題は、韓国現地調査を行うことにより達成できるが、昨年度に続き、感染症の影響で実地調査を行うことができなかった。その理由により次年度使用額が生じている。
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