研究課題/領域番号 |
17K02686
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研究機関 | 群馬県立女子大学 |
研究代表者 |
小笠原 奈保美 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (50630696)
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研究分担者 |
甲村 美帆 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (50345419)
大藤 建太 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (80549303)
Ginsburg Jason 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80571778)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 災害コミュニケーション / 避難心理 |
研究実績の概要 |
水災害と津波災害の被災地でアンケート調査を実施した先行研究20文献を集め、メタ分析を行った。まず、アンケート回答部分から避難心理や被災時の行動に関する項目を139件抽出した。これらの項目を「危険認知」「他者の存在・行動」「避難の難易度」の3要素に分類し、アンケート回答の共通項を見出すことで、各要素にプラスあるいはマイナス影響を与える要因を検討した。その結果、「危険認知」に関しては「災害情報の取得・周囲の状況把握」「脅威評価」「防災知識・準備」「災害経験」という要因を特定した。「他者の存在・行動」に関しては「直接的情報伝達」「近隣の避難目撃・助け合い」「地域の結束」「世帯属性」の要因を挙げた。また、「避難の難易度」に関しては「周囲の環境・状況」「避難場所」を要因とした。この分析結果を用いて、避難の意思決定モデルの構築を行った。Lindell&Perry(2012)の防護行為決定モデルをはじめその他の先行研究では、外的刺激から始まる連続した心理的プロセスとしてのモデルが構築されてきたが、中村(2008)の避難のオーバーフローモデルのように複数の要素が合わさって避難行動に至る非連続型のモデルが妥当だと考えた。中村のモデルに依拠しながら、社会的・心理的要因に影響される人間の行動意図を予測するフレームワークを示したTheory of Planned Behavior (Ajzen 1991)に類する避難行動に特化したモデルを構築することができた。 また、これまでに実施したオンライン調査の結果分析も行っている。長文・敬体型と単文・命令型の2種類の避難呼びかけを聞いてもらい、内容理解度や印象評価を測定した。その結果、内容理解度は低く、2種類間で有意差は見られなかった。単文・命令型の方が切迫性を喚起することがわかったが、アナウンスに長文・敬体型の方を好ましく思うのは女性の方が多かった。
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